たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/二十四の瞳その3

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完璧な「映画的」なシーンがある
日本映画史上屈指の名シーン、最高峰の演出

「映画的」とは言葉を省略しても
観客に感動や驚きや悲しみや喜びは与える技術
そして
この映画のこのシーンでは
その「映画的」な部分が完璧に出来上がっている
 
家庭の事情で丁稚に出されたまま行方知らずの娘(元教え子)
先生が修学旅行の金比羅様詣のときに
その女の子が働く食堂で偶然出会うシーン

このシーンでは女の子は
恥ずかしさと照れくささで
先生の問いかけにも
うつむいたまま一切言葉を返さない

本当は先生に抱きつきたいくらいな想いなのに
目さえ合わせられない

その子の奉公先のババアが意地悪そうなので
先生は非常に気にかけているが
お別れを言わなくてはならない時間になってしまった
(今書いていても涙がこぼれそうだ)

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「元気でね」
 
先生が帰り際に「元気でね」と声を掛ける娘は下を向いたまま何も答えない先生、店を出る娘、裏口から店を飛び出す駆ける駆ける回り込んで表通りへ(先生に駆け寄ろうとする女の子の気持ちがよく伝わる場面だが)その瞬間、表通りで生徒達が先生を取り囲む→女の子は駆けていた足を止めてしまう身を隠す娘そして次のカットで、出航する先生と子供達を乗せた船を追いかける女の子の後姿(胸がつまる場面だ)岸沿いに走って船を追う娘港にて船を見送る娘娘の泪
 
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この一連
まったくセリフがないのだ
無声映画のようだ

セリフや説明がなくても
モンタージュ(編集によるフィルムの組立)で全て理解させる

セリフや説明がなくても観客に伝えることができる
素晴らしい作品
腕のいい監督の見本