たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/わが恋せし乙女

白黒の古い映画なんて
興味ない人が多いだろうけど
いいもんはいいよ

時代の価値観は違っても
人間の心は根本的な部分は変わらないからね、、、

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木下惠介の映画には
たとえ恋愛映画でも濡れ場は勿論
接吻シーンもないね
ラブシーン的なものがないんだよ
プラトニックな雰囲気なんだよね

木下の映画では度々登場する浅間山を背景にした作品でも
田舎臭さがないんだよね
どことなく洒落ているんだよね

とにかくロケーションが素晴らしい
こういう風景は今ではなくなってしまっているかもしれないね

たくさんのロングの画が使われているけど
いいんだよね
雲ひとつとってもいいんだよね

省略法が巧いね
カットの選び方が巧いね
音楽の使い方も

しいて言えば
子供の頃のシーンが
もう少しあっても良かったと思う、、、

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物語は
牧場一家の家の前に女の子の赤ちゃんが捨てられているところから始まる
そして、近くで女性が身を投げたそうだ

映画は数年後に移る
女の子はこの牧場の一家に育てられている
跡取り息子を本当のお兄ちゃんのように慕って仲の良い兄と妹だ

そして時代は更に往く
戦争から引き揚げてきた兄は大人になった妹に恋心を抱くね
妹もお兄ちゃんのことが大好きだけど、それは兄弟として
周囲も兄が妹を単なる妹以上の愛情を持っていることに気づいているね
母親は妹と結婚することを勧めるほどだ
そう、妹は捨て子だったこと、本当の母、本当の兄でないことを知っている

兄は妹に結婚を申し込むことを決める
母も喜んでいる

しかし、兄が打ち明ける前に
妹が他の男性と結婚したいと語り始める
妹が結婚したいほど好きになった相手は
戦争で足に障害を負った男性だった、、、

息子を想う母親の気持ち
兄が兄として妹の結婚を祝福する気持ち

やるせない
でも、みんなが妹本人の幸福を願っている

なかなかの傑作だ