黒澤明(他)原作、カズオイシグロ脚本、<生きる>のリメイク版、、、これを観ると改めて黒澤オリジナル版の凄さを感じる、、、もちろん本作も良いのだが、普通の良い映画のレベル、とはいうものの時々ぐっと涙をこらえる場面もあった、、、とにかく黒澤版の構成が秀逸だから、まったく同じにするのもリメイクする身となるとプライドが許せないだろうが、そうなるとオリジナルを超えるのはかなり高いハードルになる、、、オリジナル版冒頭のレントゲン写真のシーンのような意表を突く試みもなく、ひとりひとりが生前の主人公を語っていく構成もやや控えめで浅め、、、
1950年代の英国を再現する美しい画、タイトルクレジットの背景ではフィルム撮影でよりいっそうその時代の雰囲気を醸し出している、、、衣装やセット、ロケーションがとても良い、、、
余命を宣告されたとき、残された時間をどう使うか、旅行、ゴルフ、グルメ巡り、酒、博打、映画、死んでゆく身で働こうと考える人は少ないのかもしれない、おおかた好きなことを存分にして遊びほけることで貴重な最後のひとときを費やしてしまうのだろう、、、しかし、他人のために尽くして働き最後に何か生きた証を残すエンディングを選ぶのなら見事な生きざまだろう、、、
食事のシーンが多かった、食べることは生きること、食は映画なり、、、食事はコミュニケーションの機会、それを逃すか、活かすか、重要なシーンとして本作でも使われている、、、
1シーン、主人公が女性と街を歩いている場面の背後に「オリバー書店」の看板を見つけクスっとする、この映画の監督の名はオリバーハーマナス、、、
「キミには、つまらん職場でも楽しくする才能がある」
3.5点