木下惠介ファン、オールド邦画ファンの間では
今もなお人気の作品だが
一般的には埋もれがちな<お嬢さん乾杯>を
木下好きを自称しながら、今頃になって観た、、、恥ずかし
貧乏に落ちぶれた華族の一家の令嬢と
貧乏から這い上がった成金男の恋の顛末
屋敷は抵当に入り
生活のためにピアノも売った上流階級一家の
結婚を前提とした令嬢の誕生日にピアノを贈る男
喜ぶと思って贈った男
「得ること」の喜びを知った男
親族はその贈り物に惨めな思いをする
「失うこと」の惨めさを知った女(と、家族)
作り笑顔で女性は元婚約者との想い出の曲を弾く
男はのちのちその曲が想い出の曲だったことを知る
金のために持ち込まれた縁談
金が前提にある結婚条件
男も女も互いに葛藤する、、、
上品な世界と庶民の生活の対比
家柄と金
クラシック音楽とソーラン節
バレー鑑賞とボクシング観戦
バレリーナと夜の店のダンサー
弟と主人公の男の対比
戦後3、4年の東京を舞台にした
すべてが対になっている新藤兼人の素晴らしい脚本と木下の演出
これはルネクレールだね
まるでルネクレールの雰囲気をまとった一級のロマンティックコメディ
最後はホロリと思わず涙を誘われた、、、
バーのマダム(ママ)の村瀬幸子がいい
こういう脇で光る人がいると映画が尚しまる
(マダムと呼ばせているあたりも仏映画の雰囲気、ルネクレールを想起する)
そして、もちろん原節子
原節子は兎に角「横顔」がいい
もちろん綺麗だが
それだけでなく何しろチャーミング
横顔でも様々な表情をみせてくれる
この数年後に小津映画<晩春>の
湘南の砂浜でみせた横顔が美しすぎてベストと思うが
この映画ですでにボクと同じような横顔ファンを魅了していた、、、、
これは、ね
ほんと正統派の良い映画
笑えて、考えさせられて、最後はホロリ、そしてポロリ
絶対に観ておくべき一本、、、