ボクは高校時代
学校に通いながらも
ほとんどを歌舞伎町の中で過ごした
歌舞伎町や新宿のことなら
隅の隅まで知り尽くしているつもりでいた
不良とヤクザと夜の女たちが熱に魘された街
でも、ボクのそれは、しょせんガキの遊び
この映画は
様々な人たちによる、様々な闘いの物語、、、
荒野だけに、、、斗い
テレビドラマなら約7回分
5時間の前篇・後篇
しかし
引き込まれて
飽きずに一気に観ることが出来た
50年ほど前の寺山修司の原作だが
時代を2020年の東京オリンピック以降
場所は歌舞伎町や新大久保を中心とした新宿に設定した
主人公、新宿シンジに菅田将睴
そして、バリカン健二にヤンイクチュン
この二人は
きっと今年の賞レースの中心人物になるだろうね
とくにヤンが良い
あの<息もできない>の兄ちゃんや
<かぞくのくに>の同一人物とは思えないほど
「童貞で、どもりで、内気な」男を演じている
トレーナーのユウスケサンタマリアは片目で
もう一人のでんでんはニッカポッカの土方風
ほかにその恋人たち、家族たち
訳ありの連中が新宿で交叉する
その中でも特に高橋和也がいいね
もう、この人は自分の役柄を掴んだね
その域に到達している
ヘンタイやらせたら今や日本一
主人公二人は
共に家族を失い、棄てられた同士
お互いを「アニキ」「シンちゃん」と呼び慕っている
そして
二人同時にボクシングを始め
人々との出会いや葛藤と共に
上を目指す
東京オリンピック後の荒れた不況の時代
3.11東北の震災の傷跡
自衛隊、徴兵制
介護、生死
いろいろな戦い
様々なメッセージが込められている
が、メッセージ性みたいなものが詰め込み過ぎていて
すこし白ける瞬間もある
これと同じ思いをしたことがある
やりすぎると<20世紀少年>ようなマンガチックになってしまう
この映画の主題である
「闘い」の一方にある「生死」を強調したいがために
自殺防止協会(?)みたいなNPOが登場するが
ここらの下りはあまり必要性を感じない
つまんねえと、いらねえんだよと、他でやっとけと、
そ、オレは、闘いに、ボクシングに、集中したいのだと、
そんなことを思ってしまう瞬間もあった
そして女との別れ、友と袂を分かつ別れ
それぞれの別れに関して釈然としないような
説得力に欠けるようにも感じた
もう1シーン、もう1カットあっても良かったのではないか
何かを提示するべきだと感じた
そして
これはボクシング映画で成長の過程を描く際に陥りやすいことだけど
強くなっていく過程に説得力があるのか?そう描かれているか?
セリフにより「半年」経ったことは告げられるが、画で見せてほしかった
たとえば
季節感を出して時間の経過を感じさせるような手法や
シャツがボロボロに傷んでいくとか
シューズに穴があいてしまうとか
汗で床が腐るとか
そんな1カットを差し込んでみるとか、、、
しかしながら
なかなか素晴らしい、見ごたえのある作品だった
3.5☺
「すべての人々にとって生きることは闘うこと」
「生まれた時から人は死んでいる、死を迎えて完成する」