たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

「何者」、、、さらば10代の日々篇その1

高校の卒業式では
優秀な成績を残した部に対して学校より表彰がある
大きな体をした体育会系の連中に混じって
文化系から唯一映画研究部が表彰された
高校での映画制作の日々がこれで終わった

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※本文と映画及び小説は何の関係もありません

ちなみに応援団狂のKI君だが
卒業記念に撮った作品は
<21世紀の精神異常者>というキングクリムゾンの曲を基にした映画を製作した
(クリムゾンの曲、現在は<21世紀のスキッツォイドマン>と改名されている)

応援団ものとはまったく違う、重く暗い非常に暗い、高校生が自殺する映画だった
ほんと、最後まで、謎だったが、
彼は応援団好きという他に、いったい「何者」だったのか、、、
 

大学に入った自分は
毎日のようにサーフボードを小脇に抱えて♪海にいた
 
ときどき遠出をしては
まだ知られていない
シークレットポイント(サーフィンに適したビーチ)を探す旅に出た
 
ところがというか
案の定というか
毎日のように海にいれば成績は上がらない
ときどき大学に顔を出しても
 
授業にも出ず
友人と朝から酒を飲んでいるか
麻雀をしているか
ビリヤード場にいた
 
傍らには
片岡義雄の本と大滝詠一の曲
ミーハー
 
挙句の果てには留年
そんな具合で10代をもうすぐ終える頃
それでも懲りずに海にいた
 
沖から上がって
誰もいない海で空を眺めるていると
自分だけが社会から疎外され孤立した人間に思えた
ときどきそれが恐怖にも感じられ
 
オレは何をやっているのだ、、、「何者」なんだと、、、
 
 
そんな頃、こんなニュースを目にした
 
長谷川和彦が石井聰互、大森一樹高橋伴明、根岸吉太朗ら
これからの日本映画を背負って立つ連中が結成したグループ
ディレクターズカンパニーを立ち上げた
 
その略称ディレカンが脚本を募集するという
最優秀作品には映画化の製作費として1000万円が援助されると
あとあとから考えれば茶番の出来レースが行われた
結局、身内の相米慎二が<台風クラブ>でグランプリとなったからだ
 
非難としてそのように言っているわけでも
茶化して言っているわけでもない
 
脚本のコンテストを行って
労せずして良い題材を探す
優秀な才能がいれば拾う
むしろ上手く考えたものだと感心した
 
ボクはこのコンテストに参加した
海には行かず
真面目に大学に通いながら脚本を書き始めた
 
70年代はニューシネマの影響で
若い男と女の逃避行ものが映画でもテレビでも多かった
きまって最後は銃弾により倒れるバッドエンド
 
こんな陳腐な物語を
これからの80年代は茶化すべきだと思った

ゴダールの<勝手にしやがれ>の雰囲気と
日活の無国籍映画の雰囲気を併せ持ったイメージ
若い男女と警察とギャング(あくまでもヤクザではない)の3つ巴
ストーリーよりもセリフが洒落ているように気を遣った
 
そんな脚本をディレカンに送った
 
その後
相米慎二の<台風クラブ>がグランプリを受賞したことを知り
この件はすっかり忘れていた頃に
一通の手紙を受け取った

 
差出人の名前は、「黒沢清」となっていた、、、