80年代にたいへん人気のあった斉藤由貴
当時、斉藤由貴は男子たちの最も憧れの女子であった
名曲「卒業」を青春の想い出の歌という元男子は多いはず、、、
その斉藤由貴主演<雪の断章-情熱->は
長いこと観ることが容易でない埋もれがちな作品であって
だからこそ尚更カルト的な扱いを受けてきた
しかし、このたび、やっと
Amazonで観ることができるようになった(ただし有料)
冒頭いきなり凄まじいシーンが、
撮影部、照明部、特機、操演、美術、メイク、衣装、そして演者と
全てのスタッフの力を結集させなければ成しえない
一週間の経過を14分1シーン1カットの長回し
しかも複雑で大胆な移動も含め
実際は途中で2か所部屋にキャメラが出入りするか所でキャメラを止められるが
そうだとしても非常にタフな撮影となる
オープンセットかスタジオか分からないセットも凄すぎる
家の脇に川が流れているからね
まったく驚くべき冒頭のシーンだ
こういうのも相米は好き
バカなこと、バカげたことだが
バカなことほど面白いものだ
ただね
こんなことは舞台でやればいいのにとも思う
舞台にキャメラを持ちこんだような感覚でもあるんだよね
しかし
この後のカットがいきなり映画的なのだ
斉藤由貴がバイクの後ろに乗って後方に反り返っている
それを真上からキャメラが捉える
こんなことは映画でしかあり得ない
舞台的なものから映画的なものへのジャンプカット
むしろここに凄さがあると思うのだ
こういうのも相米が好きなやつ
支配者相米は自然な演技を演者に強く要求するようだが
なぜか演じてる感が否めないのが不思議だ
相米は間違っているのではないかとさえ思う
だから
キャメラを侵入させた演劇になってしまうのではないかとも思うのだ
やたら子供が歌いそうもない歌を歌わせるのも
相米にはよくあるような気がするのだが
監督本人の狙いは成功しているのだろうか?
好きと嫌いが入り乱れ
いったいオレは何を見せられているんだろう?
やってることは面白いのに、実はくだらない
花屋のシーンでは
斉藤由貴が妙な動きを見せる(不規則に回転するモノの上に載せられている)
これも面白いのだが
面白さが内向きというか暗い感じが
いつも相米には漂う
長回しとか、ヘンな事より
相米の良さは大胆なジャンプカットだと思う
長回しの一方で活きるカットの割り方が絶妙なのだ
無駄の経過は一切省く潔さ、大胆さこそが相米の真骨頂であり
1シーン1カットとか、役者に厳しいとか
そんなことは監督の技量ではない
後処理でなければ、この光の入り方は奇跡的、、、美しい
5コマ目から最後の6コマ目は隣り合わせたステージ上での移動、舞台装置のよう