とある女子高、創立記念日には演劇部により毎年<櫻の園>が上演される、、、その上演の日の幕が開く前の数時間の話し、、、前夜に喫煙で補導された生徒のために、まさに上演中止のピンチに、、、
公開当時(1990年)たいへん良い映画だと思ってから30年経て再び観ることにした、、、当時は何が良かったと思ったのかは記憶にないが、近年(ボクにとって30年前はほんの最近のこと)の日本映画ではかなり上位にくる優れた映画と思っていた、、、さて、あらためて観てボクはどう感じるのだろうか?
まず、一番感心したのは、これほどセリフの多い脚本でありながら、往復ビンタみたいな切り返しのカット割りがないこと、ひとつとして同じショットがない、、、数々の構図を駆使して同じようなカットを使わない、そこらへん監督の強い意志を感じ、よく考えられた労作だ、、、こうなると長回しより頭使って労力を使う、キャメラマンは大変だろうが、楽しめたかもしれない、、、屋内でのロング、長回し、移動撮影、あらゆる技法や構図、、、とくに流れるようなドリーやクレーンが素晴らしい、、、
昨年の<アルプススタンドのはしの方>を何となく連想する、、、小さい小さいエピソードというか、一瞬を積み重ねると同じように、様々なカットを割りふり並べつないでゆく、カット割りの妙、、、
8,90年代ふうなセリフ回しやセリフのトーンは今では違和感があるが、それでも演者たちが生き生きしている自然体の高校生と感じる、、、
彼女は彼女に憧れている、、、二人になったときに告白する「あなたが好き」、、、どういう意味で言っているのかを訊ねないのがいい、友だちとして?それとも同じ女性としての憧れや尊敬?それとも、恋なのか?、、、言われた彼女は「もっと言って」と応える、、、
女の子の思春期のことで、共学であれば、男どもは女子をからかう、大きな胸のこと、生理のこと、、、言われた女の子は「一生許さない」という「冗談では済まさない」と言う、、、ここらへんの感覚は男ではない、きっと女性が書いているのだろう、、、と、思ったら、原作は女性なんだね、次男に教わったら有名な漫画家らしい、、、あ、<海街Diary>を書いているあの人だ、、、なるほど、海街か、、、合点がいく、、、
特に挑戦的なショットや、新しい感覚の画があるわけではないが、次にどんなカットが待っているのだろう、まさか同じような画がこないだろうという安心感に身を委ねて、物語に引き込まれた、、、