西部戦線異状なし、、、いや、あり、、、だから、駆け付けなければ、、、走れメロス!
簡単にいえばそんなあらすじ、、、
1917年4月6日、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ只中にあった。その頃、西部戦線にいたドイツ軍は後退していた。しかし、その後退はアルベリッヒ作戦に基づく戦略的なものであり、連合軍をヒンデンブルク線にまで誘引しようとしたのであった。イギリス軍はその事実を航空偵察によって把握した。エリンモア将軍は2人の若い将兵(トムとウィル)を呼び出し、「このままでは進撃中のデヴォンシャー連隊が壊滅的な被害を受ける。しかし、彼らに情報を伝えるための電話線は切れてしまった。そこで、君たち2人は現地へ行って連隊に情報を伝えろ」と命じた。デヴォンシャー連隊には1600名の将兵が所属しており、その中にはトムの兄(ジョセフ)もいた。トムとウィルは味方を救うため、決死の覚悟で無人地帯へと飛び込むのだった。
なお、本作のストーリーはサム・メンデス監督が祖父のアルフレッドから聞いた話を元にしている。大戦中、アルフレッドはイギリス軍で西部戦線の伝令を務めていた。(以上、Wikiより転載)
<アメリカンビューティ><ロードトゥパーディション>のサムメンデスが
やはり<007スペクター>の冒頭で1カット1シークエンスの長回しに挑んだように
<007スカイフォール>で組んだ撮影監督ロジャーディーキンスと再びタッグを組んで
全編1カット(風)に挑んだ作品
前哨戦では
オスカーとの連動性が高い「英国アカデミー賞」ほか
賞レースの先頭を走っていたはずの本作品だが、
オスカーでは
<パラサイト_半地下の家族>が劇的な大逆転劇を演じることとなった、、、
はたして
ボクの眼からは
この両作品がどのように映るかを確認するため初日の劇場に走った、、、
いやーーー
凄い映画、凄まじい映画でした
映画史にまた凄い戦争映画が誕生したわけです、、、
全編ワンカット(風)に関しては、
ボクは観る前は懐疑的だった
必要性もなくワンカットにこだわっていないか?
それをやり遂げることが目的となっていないか?
ところが
その懐疑的な想いを打ち消すことに
この映画は成功している
映画はドキュメンタリーでない限り作り物であり、リアルではない
でもリアリティに描くことが出来るのが
文学にも演劇にもない映画の優位性だ
キャメラは主人公を追い続ける
観客は主人公についていく
まるでゲームのシューティングゲームTPSのようだが
ゲームのバーチャルとは違う
映画もゲームもイマジネーションかもしれないが
本作では勿論ゲ-ムよりも現実的で
キューブリックの<突撃>や<プライベートライアン>の冒頭並みに
臨場感、戦場体感が観客を包む
今回IMAXで観たのだが
おそらくその効果もあったかもしれない
懐疑的だったワンカット風は効果的で正解だった
ただね
やはりシークエンスごとにカットをハッキリ割っても
ぜんぜん良かったとも思う、、、
<パラサイト_半地下の家族>との比較に関して
今回
前哨戦で先頭を行っていた<1917>が
オスカーでは<パラサイト>に破れたことについては興味深った
こうして両作品を観て比較してみると
社会性とエンタメ性を両立した<パラサイト>に面白さでは負けているものの
映画としての「質」というか映画史的な「価値」「意義」は
むしろ<1917>にあり
オスカーの「裏」の事情は兎も角
正直<1917_命をかけた伝令>の方が作品として優れている
映画はね
「ストーリー(もしくはメッセージ)」で評価する人(多数派)と
「映像(画の見せかた)」で評価する人(少数派かもしれない)に分かれる
物語で良し悪しを言うのなら
文学でいいわけだし、演劇でもいいはずで
物語性では映画はその二つを上回れないことが多い
結局、映画の優位性は
映画的独自性を有効に活用した作品となる
そういう意味で
<1917>は<パラサイト>を上回っていると言えるのだ、、、
欠点と言うか気になった点について
予想したよりも
セリフや音楽が多めだったのは気になった
もっと無口で音楽が薄めの方が更に重苦しくリアルで緊張感があっただろうが
そこらへんは監督も観客寄りにスリ寄ってしまった気がする
それとね
オスカーでは<ワンハリ>に取られてしまったが
「美術賞」はこの映画に与えるべきだったと思う
水で腐った木の質感とか、錆びた鉄のサビの感じなど
本当に細かい部分まで作りこんだオープンセットが素晴らしかった
こういうことができていないと
リアリティのある物にならないんだよね
なんで<ワンハリ>だったのだろう?オスカー選者の眼を疑う、、、
4☺