ベルイマンを差し置いて
同国のアルフシェーベルイがカンヌを制した<令嬢ジュリー>
今では、あまり語られることがない作品だが
とんでもない映画だ!大傑作だ!
最初から最後まで
全てのショットが素晴らしい
濃淡ハッキリしたコントラストの中
ときどきトリッキな技法も用いながら
いいもん見させてもらったぞぉーーーってな感じ
例えばあるシーン
男が豹変する、女が走り去る、大広間の開かれた窓から風が入ってくると、追いかけようとした男の足を遮る、、、
こういう細かいことができているから
目ん玉パッチリ開いてスクリーンに吸い込まれてしまう、、、
こういう、美しく、よく出来た映画が
今は本当に少ないのが残念
昔は、一年に何本も何十本も素晴らしい傑作が登場したのに
今は、年に何本傑作に出逢えるか?出逢ない年さえある、、、
あらすじ
夏至祭の宵、豪農の納屋の中では女中や農夫が、白夜の一刻を踊り狂っていた。父伯爵カウント(A・ベンリクソン)が近所の農家を訪問した留守、娘のジュリー(A・ビヨルク)は楽の音に誘われてダンスに出かけ、下男のジャン(U・パルメ)と踊った。しかし彼の厚かましい態度を怒ったジュリーは彼を置去りにして去ったが、やがて台所で許婚のクリスチン(M・ドルフ)と語らうジャンをみると、ジュリーは挑発的な態度で彼をからかわずにはいられなかった。生来卑しい農夫にすぎなかったジャンは少年の頃からどんなにジェリーを想いつづけて来たことかと、彼女を口説きはじめ、ついにジュリーはその夜ジャンに身を任せた。彼女は、不幸な少女時代のこと、自分を神経質な女に育ててしまった暗い家庭生活をジャンに打明けた。彼は、二人でイタリアに逃げ、新生活を打立てようと誇らしげに彼女をはげますが、聞くほどにジュリーは、男のいい加減な妄想と二人の食い違いを思い知らされるのであった。夜明けと共に父は帰宅しジャンは再び卑屈な召使いに戻った。今は一夜の悪夢もさめ果てたジュリーは、彼女の誇りを全うする唯一の手段--自殺を選ばなければならなかった。