たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/偽れる盛装

小津に対して成瀬なら
溝口に対しては吉村がいる
過去の日本映画界の層の厚さ
 
この映画も
溝口が撮っていても良さそうな題材であり
吉村が溝口に一歩も引くことなく花街を
いや、女を描いてみせた、、、
 
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靜乃家の君蝶は祇園界隈で凄腕をもってならした芸者だった。その妹妙子は、姉とおよそ反対に、京都市の観光課の事務員をしている地味な娘だった。二人の母きくは、その昔祇園で一流をうたわれた芸者だったが、染色会社の社長渡辺に囲われ、二人の娘を生んでからは、旦那大事と生きて来て、旦那が窮地に陥ったとき長女をその犠牲にして芸者に出し、旦那の死後、その息子が金の無心を言いに来ると、自分たちの住んでいる家を抵当にしてもその金を工面するというような、古風で義理固い女だった。その母に強く反発をして、姉の君蝶は、いっそう腕によりをかけ、美術商の笠間を絞れるだけ絞り、次には、速神丸本舗の一番々頭の山下を虜にしていた。妹の妙子は、やはり祇園で有名な料亭、菊亭の一人息子で同じ観光課に勤めている孝次と恋をしていたが、孝次の母千代は、きくとは昔の朋輩でありながら、家の格式が違うと言って二人の結婚を許さなかった。妙子の親友で、父が東京の大学の教授をしている雪子は久しぶりで西下して、妙子たちの恋愛を知り、二人して古い環境から抜け出し東京へ逃げて来ることを勧めるが、孝次には、家を出て独立する自信もないのだった。君蝶から見るとこうした皆が歯がゆくてならなかった。殊に千代が、身分が違うと言って妙子と孝次の結婚を許さなかった高慢さが、我慢ならなかった。山下をいいかげん絞りあげたところでもあったので、今度は、千代の旦那格の男で、小料理屋をしている伊勢浜へ、君蝶の誘惑の手が伸びた。千代はじだんだ踏んで口惜しがり、逢引の場へ乗り込んで君蝶を面罵したが、若く美しい君蝶の敵ではなかった。その間に、晴の温習会が始まり、君蝶は伊勢浜のおかげで、美々しい仕度をして出演することが出来た。一方、速神丸の山下は、金の使い込みがばれて店を追われ、せめて君蝶にでも逢いたいと思ったが、彼女が冷たく彼を寄せつけないのに思い詰め、出刃包丁をのんで彼女の楽屋を訪ね、逃げる君蝶を追って町を走り、ついに彼女を刺してしまった。一命をとりとめた君蝶は病床に横たわりながら、東京へ行くという孝次と妙子を優しく見送り、自分もこんな世界とは縁切りだとつぶやくのだった。(映画.comより)
 
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京都の河原町で育ち、東京は向島で育った
だからこそ、女を撮らせたら超一流の吉村公三郎
 
その<夜の蝶>は、中平に連なり
そして、やがてヌーヴェルバーグにも影響を与えた、、、
 
この<偽れる盛装>では
とにかく京マチ子がスゴイ
 
この前作が<羅生門>だから
ノリにノッてる京マチ子
 
大正生まれで、昭和で活躍し
平成を越え、新しい元号へと4つの時代を生きる京マチ子
 
今は地元大阪で半引退状態だが
叶うのであれば
いま一度姿を拝見したい
 
もう、生きている本物の女優は何人といないのだから、、、
 
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お茶屋のおうちの格式ちゅうもんがどれほどのもんか知りませんが、同じ人間5分と5分、お母ちゃん、塩まいときー!」
 
老舗のお茶屋に軽く見られた復讐に
京マチ子は旦那を誘惑することに、、、
 
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終盤
「踏切」によって
その正反対の姉妹の運命を表現してみせた
これぞ演出
 
京マチ子は恨みを買った男に追われ追われ
とうとう踏み切が閉まって道を塞がれる
 
一方、妹は婚約者と手をとり東京へと向かうが
うまい具合に電車は通過し踏切が開き
道を阻まれることなく二人はすんなり前へ進む
 
かたや
戦災を免れながらも、封建的で、閉鎖的な京都の花街から抜け出せない姉と
 
かたや
価値観を根底から壊され再起するスクラップ&ビルトされた東京へと新天地を求める妹
 
この何気ない2つのシーンで
相反する姉妹を表現してみせたのがスゴイ!
 
ぜったい観るべき吉村公三郎の傑作、、、
 
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