たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

食は映画なり/Keiko

ガキの頃観た時は
つまらなく退屈で眠気に襲われた映画<Keiko>を
40年ぶりに鑑賞してみた、、、

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物語の場所は京都
一人の女性が閑散とした映画館で独り映画を観ている場面から始まる、すると男が寄ってきて女の隣に座る、そ、痴漢なんだね、、、、イヤな思いをした女性は高校時代に憧れていた先生を食事に誘う、鍋を挟んで酒をつぎ合う、すっかり大人になったケイコは「23歳でバージンっておかしいですか?」と先生を困らす質問をする、そして酔った二人はホテル街へと消える、、、

ロマンポルノにありがちな話しだけど、ここではベッドシーンは見せませんね

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ケイコは外出があまり好きでなく、部屋で料理をするのが常だが、その日は材料が揃わず料理を諦め、近所の喫茶店でカレーライスを頼んだ、するとタイプの男が目線の先にいた、それ以来、ケイコはその喫茶店で夕食をとり、時間を過ごすようになる、もちろん、タイプの男に再開するために、、、

ここまでのボクの書き方が悪ければ、「男を漁っているような女」に感じるかもしれないが、けっしてそうではない、ありふれた普通の女性の何気ない生活の一端だ

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ある日、ケイコが銭湯からの帰り道、目当ての男が喫茶店に入っていくのを目撃する、ケイコは走って部屋に戻り、あわてて髪をとかし、化粧をする、、、そして、喫茶店で目と目が重なり合う男女、、、おそらくケイコの洋服が違うので別の日なのだろう、デートをした帰り、男はケイコの部屋に招かれ、なるように男女は重なる、、、しかし、やっと掴んだケイコの幸せな日々は続かない、男はどんなに遅くても泊まらず家に帰る、なかなか会えない日が続いたりもする、そのため初めて電話を買う(もちろんケイタイではない)それでも会えない日が続くとケイコは男の会社を訪れ、そのとき男が既婚者であることを知る、、、

なんとも、ありふれた筋書きでしょ、映画にする意味もないようなストーリー

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男の不倫を知り別れたケイコに、こんどは会社の同僚の男からアプローチが続く、けっして嫌いではないがタイプではないのでノリきれないケイコ、、、そんなことなど同僚の先輩女性と話し飲み明かした夜、思いがけず先輩女性とケイコは同性愛で結ばれる、、、それ以来、肉体関係だけでなく、精神的に強く二人は結ばれ同居することになる、、、先輩はケイコの絵の被写体になりケイコの前で全裸になる、ときどき絵を描きに二人で遠出もする、先輩は独立してお店を出したいという、そのときは是非ケイコにも手伝ってほしいという、そのための資金のために先輩は夜の仕事もするようになるが、ケイコは描きかけの先輩の全裸画の前で独り時を過ごす、、、

レズシーンへの展開は、この映画でもっとも驚きのある場面でしたが、それよりも二人の絆の深まりが非常に良いのですね、ケイコが初めて満たされた生活をしているんですね

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ケイコの実家では父親が早く嫁に行けと五月蠅いのです、その話になるとケイコは不機嫌になり父親と喧嘩になる、ケイコは今の生活に充実感を感じているので変化を望んでいないのですね、、、しかし、ケイコは考える、このまま楽しく幸せの日々が続くとも限らないことはケイコの経験から感じているのです、なにしろ先輩は凄くケイコに優しいのですね、「優しすぎて怖い」なんてセリフはよくありますが、ケイコの心境はまさしくそれでしょうね、、、いきなり、ケイコの結婚式のシーンになり映画は終ります、、、

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ま、話を読んでいるだけでも
退屈そうに感じると思いますが
それが意外と退屈しないのです

面白いわけではないのですが
不思議なほど、つまらなくはないのです
本当、不思議な感覚です

ケイコ役は当時現役の女子大生
素人を配役したのですね

だから
演技になっていないのです

おそらくアドリブにちかい感じで
セリフも厳密ではないでしょうね
で、ないと、プロでない役者では勤まらないはずです

よく「ドキュメンタリータッチ」なんて言葉が使われますが
そんな言葉では収まらない不思議な魅力を持った
プライベートをスナップしたような
しかし明らかな劇映画

イーストウッドの<15時・・・>とブレッソンの中間
ドキュメンタリーとドラマの中間でもあるような
不思議な魅力を持った作品ですね、、、


そして実は!
何より衝撃的なシーンがあるのですよ!

それは映画が終わってから
クレジットのスーパーが下から、せり上がってくるとき

キャスト
ケイコ・・・若柴順子
カズヨ・・・きたむらあきこ
こう続いていく次の瞬間でした!

映画館の男&新郎・・・中野隆

映画館の男は痴漢ですね
新郎はラストでケイコと結婚する相手ですね

え!
痴漢と結婚相手は同一人物だったのか!衝撃過ぎる~!

いや、ちょっと待てよ、低予算だし、
なにか事情で仕方なく一人二役になったのではないか?とも
考えたけれど、そうじゃないんですよね、
狙っているんですよ、この監督

ありふれたような人生でも
すべての人の人生にドラマがあるのですね

あるのなら、
「Keiko-2」が観たくなりました、、、」

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お、そうだ、「食は映画なり」

この映画、
Keikoが接する全ての相手と
食事のシーンが用意されているのですね

先生と、男と、片思いされている男と、同性愛の先輩と、家族と
食事を挟んで
その先に相手がいるんですね
ケイコが向かいあう全ての相手

とくに
先輩とスキヤキ鍋を挟んでいるシーンが印象的でした
ケイコは常に鍋の中の肉を箸でつついているんですね
ほかに演技のアイデアがないのですね
監督も指示も修正もしないから
ずっとケイコは箸で鍋をつついている
これがボクには一番のツボでした

演技とかリアルとか
そういうのを超越して
ケイコを演じたその女性がそこにおりました、、、

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