戦場と愛情の物語
A Time To Love And A Time To Die
物語は
第二次世界大戦末期、ナチス・ドイツの敗戦が色濃くなって行く中で、前線の戦場から2週間の休暇をもらって故郷に帰ったエルンスト・グレーバーは、町が爆撃され、両親が行方不明になっていることを知る。両親の行方を探すために父親のかかりつけの医師だったクルーゼを訪ねるが、クルーゼが既に強制収容所に送られた後であることを娘のエリーザベトから聞かされる。落胆したエルンストが帰ろうとしたそのとき、空襲警報が発令され、ともに防空壕に避難したことをきっかけに、エルンストとエリーザベトは親しくなる。 何度か逢ううちに自然と愛し合うようになった2人は、エルンストの両親が居場所は不明なものの生きていることを知ったこともあり、結婚。エルンストが軍務に戻るまでの限られた時間ではあるが新婚生活をスタートさせる。ところがその矢先、町が空襲に遭い、2人は家を焼け出されてしまう、、、
戦争とは勝った国が歴史を描くもの
負けた国は無言を通すしかない
一方だけが汚く
勝った国だけが綺麗に戦ったというのか?
しかし 事実とは異なったとしても
歴史は勝った国によってそのように書き換えられるもの、、、
ナチスの幹部のこと
ドイツ兵が口にする
「ゲシュタポの犬め!」
皆が皆
ナチスに傾倒していたわけでなく
しかたなく戦場に身を置いていた、、、
妻がユダヤ人であったため
弾圧を逃れて米国に亡命した人物だ
この映画の製作にはうってつけの人材であったはずだが
監督であるサークはあくまでも冷静に描いてみせた
戦争は悪だが
戦場の兵士たちに悪も善もない
もちろん冷血非道の軍人もいるだろうが
その人間であっても戦争に巻き込まれた一人である
サークは
声高に叫ぶことなく
説教臭く語ったりはしない
それはラストシーンで発揮されている
観客に見せることで
観客の心に感情を湧き起こす
それが優れた監督の仕事
けっして「ひどいなぁ」「つらい」「悲しい」なんて言葉を
もちろん役者に喋らせたりはしない(笑)
主演女優の
リーゼロッテ・プルファー
髪形からオードリーヘップバンをイメージさせる
若い頃の南果歩のようにも見える
名女優でもなく
むしろ無名のこの女性が非常に巧い
ときおり見せる感情的な態度が
本来の自分でないと理解できるほど
ここでは言葉なく
戦争やナチスに対する気持ちを想像させる、、、
言葉で語るのは簡単
それをしないのが名監督名演出
サークはここでも本領を発揮している、、、