数か月
部活の撮影に付き合って
他の連中が監督しているのを見ていれば
自分もやってみたくなる
そこで
夏休みにバイトをし
足りない分は貯金を崩して
8ミリカメラを買うことにした
部にはカメラは1台しかなく
自由に使えないからだ
映画や小説の物語と本文には何も関連性はありません
まず迷ったのが
コダックの「スーパー8」にするか
富士の「シングル8」のどちらにするか?
互いにフィルムのカートリッジの形状も違い互換性が無い
結局
フィルム代が若干シングル8の方が
安いという理由でシングル8にしたが、
実際は「青」味がかったシングルか
「橙」がかったスーパー8か
その色調の好みで選ぶべきだ
お金が貯まる間に書いていた脚本と
買ったばかりのカメラを手にして
後輩の1年生と撮影を開始した
高校生の受験戦争と
その間の息抜きにモデルガンを改造する高校生の話し
そしてモデルガンが改造した後の標的は、、、
そんなストーリーは兎も角
キャメラが天井から真下を移動で撮影するシーンを真似たかった
ドリーもクレーンもないので
学食の屋根に上り(もちろん学校に無許可で)
真下を歩く演者と歩調を合わせて手持ちで移動する
そういうことが本当に楽しい
その瞬間だけは日本の高校生が
一瞬マーティンスコセッシと繋がった気がするからだ、、、
そして主題歌はシカゴの<長い夜>♪
そして挿入歌はジョーコッカーの<青い影>♪
豪華なサントラだ、、、
撮影も楽しいが
監督にとって一番楽しいのは「編集」だ
これは殆どの監督経験者なら
プロでも素人の高校生でも
そう答えるのではないだろうか
撮影は編集のための「素材」集めともいえる
試験勉強ならできなくても
編集なら食べることも忘れ
3日間くらい徹夜が出来る
そうして完成した第1作目
実は撮影している頃から
コンテストに出すことを考えていた
その頃は8ミリの自主製作が全盛期だったので
いくつかコンテストがあった
とくに雑誌ぴあのコンテストと
富士フィルム主催のフジ8ミリコンクールは
自主制作している若者の甲子園のようなものだった
ボクはフジのコンクールに応募した
審査員長は市川崑だそうだ
のちに映画監督になる先輩のH氏に
フジのコンクールに出品したことを話すと
「あそこは厳しいよ、昨日今日始めたばかりじゃ、入賞はムリだよ」と
言われたので、余り期待もせず、
すっかり忘れたころに、、、「入賞」の知らせを聞いた
コレをキッカケに
さらに自主映画制作に夢中になるボクだった、、、