ボクは夏にシュノーケリングをするのが好きだ
ただ何も考えず水に浮かんで長いこと漂い
自分の呼吸音を聴きながら水の底を眺めてる、、、
「タルベーラの弟子」をキャッチフレーズにしている
日本の女性監督小田香は今や注目の的
前作<鉱ARAGANE>を見逃しているが
更に評判がいい<セノーテ>を観てきた
新しい才能に贈られる<大島渚賞>第一回受賞作、、、
何しろ蓮實御大が
「傑作だ!」とPUSHしているのだから観ないという選択肢はない
ところで、名作とか傑作とか
「名作」と云うには時間を必要とする
「傑作」と褒めるには近年極々稀にしか存在しない、、、
古代、隕石によりメキシコの山奥にあいた大きな穴ぼこ群には、水がたまり泉になり、人々の生命生活の源となっていたので、雨乞いのため若い女や赤ん坊が生贄として泉の底に落とされたという悲しい過去がある、、、その泉の水中に監督本人が潜り撮影した映像、、、
とくに物語があるわけでもないから
面白いとかいう部類のものではない
早い人では10分も経たずに睡魔に襲われるかもしれない
それでもシュノケーリングで水に漂っているのが好きな人には
意外にも飽きることなく
ただひたすら水の中をゆっくりと行くキャメラについていけることだろう
水は生命、キャメラの動きは呼吸のようだ、、、
そんな映画なので
これと同じ映画を誰も観たことがないと思う、、、唯一無二
しいていえば
マヤデレンやケネスアンガーから
アバンギャルドなニュアンスを差し引いたような映画
かなり優秀な自主映画、学生映画かもしれないし
でも必ずしも商業映画が偉いわけでもない
水中をiphoneで撮り
地上を8ミリフィルムで撮影したようだ
水面は鏡の表面のようであり
地上(現世)と水中(前世)の境界のようだ
コクトーのオルフェが鏡に触れて
向こうと、こっちの世界を移動するかのような、、、
3.5☺