たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

「何者」、、、高校熱中編その5

それからますます
自主制作に夢中になっていくが
フィルム代とか現像代とか
高校生には出費がキツイ

そこでスポンサーを見つけることを考えた
目を付けたのは「文化祭実行委員」
企画書を提出して承認を受けると
支援金を受け取ることができるそうだ

さっそく
次回作の脚本と見積書を作成し
プロフィールを添えて
文化祭の実行委員会を訪ねた

そこで担当となったのはM君
文化祭の副委員長だそうだ

いくら大きな学校でも
今までMを校内で見かけたことはなかった
初対面

「映研なら、部費から金でないの?」
「基本、貧乏部活だし、ほかにも制作したがってる連中がいるし、フィルム代とか現像代は自分持ちになるんですよ」

Mは
ボクの映画制作は完全に個人的なもので
学校や文化祭が援助するには値しないと読んでいた
それは当たっている
しかしボクには金が必要だ

そこで
ウルトラCの提案をMにした

「ところでこの映画の主役なんですが、まだ決まってないんですよ」
「へぇ」
「そこでどうですかMさん、主役やりませんか?」

思いもよらない提案にMは驚いていたが
まんざら興味がないわけではなさそうだ

「でもね、面白そうだけど、演技とか経験ないしねぇ」

もうひと押しすれば落ちると感じた
その気にさせるだけだ

「じゃー考えておいてください、でも、あなたなら出来そうですよ、そう見えるもん、出来るよ」

そして
次回の顔合わせ時にMは出演を承諾し
文化祭実行委員会からの支援金も承認された
ハハハ

そして
監督2作目の撮影が始まった

文化祭まで1か月

主役のMには
「ぁ、ヘタな演技なんかしなくてイイから、ただ走りまくってくれ」と助言し
その通り走らせているだけだった

映画は
次々と現れる幻影に追われ走り続ける男を
シーンごとに1カットでキャメラが追うというもので
とくに難しい演技は必要としなかったが
Mはヤル気マンマンでノリノリで走りまくっていた

しかし
これがMの人生を狂わせてしまった、、、

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映画と本文はまったく関係ありません

その1年後
大学生になったMと再会した

新宿の小さな劇場だった
Mは小さな劇団に所属していた

劇のあと
赤ちょうちんで一杯やりながら話した

「キミにあの時、映画に出ろと言われて、それがキッカケで役者に興味が沸いて、今は、役者を目指してる、ぜったいに役者になって、有名になって、そしたらキミを高級な寿司屋に招待して、その時、御礼を言いたい」

それから30年以上経つ
Mからの「御礼」は未だに無い、、、

ボクの方こそMに
人生を狂わせた「お詫び」を、言わなくちゃいけないだろう、、、