たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

ツカミはOK!な映画/失われた週末

The Lost Weekend

”荷造りしながら考えたことは
これから出発する旅行のことではなく
窓の外に吊るされたものだった

コンクリートのジャングルの中で
私のような男が
渇きに悩まされ
酒を求めて彷徨い歩く”

ファーストシーンが
ラストシーンに重なっている

イメージ 1

ファーストシーンは
高い高いビル群を見渡すロングショット
NYなのだろう
するとキャメラは右にパンし始める
ゆっくりと摩天楼を映し出す
しばらくすると
あるアパートへキャメラが差し掛かり
端の窓辺で止まる
何やら窓からヒモが垂れ
ヒモの先に何かがぶら下がっている

なんだろ?
何が始まるのだろう?

まさに
ツカミはOK!
オープニングだ

キャメラは部屋の中に移り
数分後
窓の外に吊るされているものが
酒のボトルであることを知る

これが
失われた週末の始まり

ところが
冒頭で記したように
ラストシーンは
このファーストシーンで終わる

つまり
酒で落ちぶれた小説家が
この映画で語られたことを
小説で綴り出したことを意味する

ラストまで観てきた失われた週末
ラストの時点で小説家の再出発となり
取り戻した週末となったのだ

キャメラは左にパンし始め
摩天楼を写し
物語を閉じる

さすが
計算し尽くされている