B級映画の帝王といわれながら
ロジャーコーマンは
輩出した人材の豊富さから
映画界への貢献が認められ
格式高いアカデミー賞の名誉賞を頂戴したのだろうね
この作品でも
若き日のロバートデニーロが
5番目のくらいのクレジットで名を連ねてる
しかし、
果たしてこれは「B級映画」なのだろうか?
B級というと
編集や音楽や音の使い方がお粗末で
全てにおいて雑な感じがするけど
この映画にはそれがない
B級ではなく
単なる「低予算」な映画だけど立派な作品
キャメラも
ロングの俯瞰の画でセリフも説明もなくシークエンスを見せ切っちゃうとか
外から窓越しに屋内をロングで映して長回ししちゃうとか
いい感じで撮ってるよ
だいたい犯罪映画
とくに銀行強盗ものっていうのは
なぜかワクワクするよね
ただね
コーマンというとヒット作品のパクリと疑われがちだけど
ちょっと違うんだよね
それがファーストシーン
このファーストシーンでそれらの作品とは動機づけが違うことを
高らかに宣言しているね
それは
ほかの作品にはない歪みがあるんだよね
ファーストシーン
少女が森の中を叫びながら逃げ惑う、数人の男の子たちに追われている、しかも兄弟たちのようだ、その上それを指示しているのは父親のようだ、そして捉えられた少女は父親の号令で「順番に・・・」と餌食になる、、、
なんと衝撃的な導入部!
狂っている!
歪んでいる!
この悲しい体験を経て
少女は泣くのではなく、叫ぶのだよ
「いつか男を生んで、私の思うままに操ってやる!」と
そして、少女の顔はブラディーママことシェリーウィンターズの顔に代わる
これこそが
彼女の歪んだ人生の、歪んだ家族、歪んだ「復讐劇」の始まり
理由はない、理不尽なことも、何もかも悪も善もない
すべて自分の想いのままに衝動的に行動するだけ
すごいよね、これがB級?
まさにツカミはOK!
シェリーウィンターズっていうと
人は良さそうだけど、どこかお頭が弱く、騙されがちな女
ここではブラッディママとして他人を水死させる正反対な役回り
いつもの彼女ではない、おそろしいママ、、、
なかなかの映画で
埋もれがちなのが勿体ない作品だ、、、