双子であるために捨てられた娘は、帯問屋の家主に育てられ何不自由なく育てられた、、、大人になりある年の祇園祭の夜、自分に瓜二つの女性に出逢う、その瞬間姉妹だと感じて声をかけ事情を訊くと二人はやはり双子で、実の両親はとっくに死んでいた、、、残された女は苦労をしながら杉の木の育つ山のふもとで労働している、、、娘は彼女を家に招こうとするが女は拒絶するのだ、、、
妻に言わせると
「東野圭吾とかはテレビドラマ、でも、芥川とか川端は芸術映画」なのだそうだ
もう日本の文学界には川端や谷崎や三島のような才能は現れないのか?
そう思うと心が暗くなる、、、
川端康成原作の映画<古都>は
原作の世界観を具現化した
原作に劣ることのない素晴らしい作品だ、、、
以前にも書いたことがあるかもしれないが
昔、黒沢清氏と仕事をした時
初対面で黒沢氏は
上下黒のレザーのライダースーツに身を包み
750のバイクに駆けて現れた
そして<ダーティハリー>を例に出し
「黒を黒で撮れている映画が少ないと、ほとんど映画の黒は潰れているが
ダーティハリーで映し出される細部の黒が素晴らしい」と語った
この映画<古都>こそ
黒がキチンと撮れている映画だ、、、
この映画が美しいのは
もちろん京都というロケーションに勝るものがないこともあるが
そういった細部にもわたる色を映したキャメラのお陰でもある
撮影監督は成島東一郎(秋津温泉、心中天網島、儀式、戦メリ)
京都の観光映画のように
繰り返し観れるタイプのBGMムービーだったりもする(もちろん褒め言葉の意味で)
この映画は美しすぎる、、、
祇園祭りを一部再現して組んだセット
そこは少しセットっぽいが
これも良く出来ている
たまに、微かに目が合わないところもあるが
岩下志麻が双子を演じる合成が
オプチカルだろうか?
しかし、マスクをかけている感じがまったくしない
あの当時を思えば
このレベルはかなり高い技術で成功している
映画も原作ももう一度観て読んでみたいと
エンドマークの出たすぐ瞬間にそう思った
当時はアカデミー賞日本代表にもなりながら
最近では語られることも少なくなった
埋もれがちな傑作だ、、、
「いけずやわぁ~」