只今、小規模公開中ながら
映画ファンの間では、たいへん話題になっている<異端の鳥>
チェコ、スロバニア、ウクライナによる合作映画を観に行った、、、
ホロコーストを逃れるために叔母の家に疎開していた少年が、叔母の病死と火事により身寄りと居場所を失い、両親を探し求める旅に出るが、行く先々で待ち受ける過酷で悲惨な状況の中を必死に生き延びていく、苦難と苦痛のロードムービー、、、
2時間49分の長尺だが
まったくだれることなく一気に観られる、、、
原作は
現地では過激な内容から本書は発禁扱いになっているそうだ
ハルアシュビー監督による傑作<チャンス>の原作者でもある、、、
原題は「The Painted Bird」
映画を見るとその意味が分かるのだが
いわゆる人間により定められた異質の存在を表す
分かりやすく言えば「みにくいアヒルの子」のような、、、
ヴェネツィア映画祭では
あまりに見るに堪えない描写の数々のために
席を立つ観客が続出したそうだ、、、
そんなわけで
トリアーを観る前と同じ覚悟をもって鑑賞に臨んだ
<火垂るの墓><炎628>や
ブレッソンの<バルタザールどこへ行く><少女ムシェット>のような
胸の苦しくなる重苦しい映画を覚悟していたが、
たしかにグロいシーンもあるし
(映画全体はグロいよりエグいって感じ)
過酷な苦難の道を行く少年は可哀想でもあるのだが
「胸が苦しくなる」ような感情よりも
単純に「痛い」痛みの苦痛を感じる
この監督は絶対にサディストだ
そうでなければこんな映画は作らない、、、
ファーストシーンがいい
小動物を抱えて森を疾走する少年
森の奥へ奥へと逃げていく
誰かに追われているようだが
とうとう追いつめられて倒され
小動物を奪われ虐待された挙句に燃やされる
「こういう映画ですよ」と
「主人公もこういう運命が待っていますよ」という
本編初っ端の監督からのメッセージ
ツカミはOK!
『ひさびさにすごい映画にお目にかかれたかな』という
期待に溢れて進行していくが、
あれ?
確かにいい構図の画も多いし
とにかくオープンセットがいい、素晴らしい再現性だし
セリフも抑え気味なのも好感がもてるのだが、
なにしろカット数が多い
カット割りという編集面も含めての意味でなく
単純にカットの数が多いのだ
もっと落ち着いてロングテイクで撮ってもいいところが幾つもあった
こんなじゃ、
ベレッソンにはなれないな、タルベーラには程遠いなと、、、
(本人が、そうなりたい、そうありたいと思っているかは定かではない)
名作と呼ばれるようになるかは疑問だが、
確実に、カルト映画の扱いはされるだろうね、、、
3.5☺