たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/霧の旗

原作は読んでいないので
ボクの評価は過大かもしれないけど
(この手の作品は大概原作の方がより良い)

山口百恵東宝<霧の旗>が観たく
その下準備に松竹・山田洋次版の<霧の旗>を観てみた、、、
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導入部が非常に良い
ひとりの若い女性が長時間をかけて
熊本から東京に向かう列車の車中

山田洋次が助監督した
野村芳太郎監督の傑作<張り込み>の導入部を
逆に列車は向かっている ニヤニヤ

女性は誰か?何のために東京へ向かうのか?
こういう観客へのツカミが巧い
ぐいぐい引っ張られいく
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女性は日本でも著名な弁護士に
弁護依頼にはるばる訪れる

兄が老女殺しの疑いで
死刑になってしまうかもしれないのだ

金もないが
藁をもすがる思いで東京へとやってきた

この優秀な弁護士さんなら
兄を助けてくるかもしれない、と、、、

ところが
弁護士は金と時間の問題を理由に
彼女の一筋の願いを断つ

その後
彼女の兄は獄死してしまうが

物語は
そこから新たに始まる、、、
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まるでファムファタールように
悪女のようでもある役を演じている
ひそかに復讐に燃える女

彼女に「悪女」を感じさせるのは
復讐の標的が真犯人ではなく弁護士に向かっていること

せっかく遠くから足を運んだ若い女性の願いを
断ったことに対する恨みは分かるが
著名で売れっこの弁護士だけに超多忙で
物理的にも遠方の案件を引き受けるのは難しいと判断したことは致し方ないところ

ところが彼女は弁護士を許さない
徹底的に潰すまで手を緩めない
みずからの身体さえも差出し復讐する

ラストは唯一の証拠のブツを
彼女が深い海へと投げるシーン

これにより
弁護士側は無罪を勝ち取る唯一の望みを失うことになる
と同時に真犯人を野放しにすることになってしまうのだが
彼女の弁護士への復讐は完結する

そして
彼女の遠くを見つめる眼は
いったい何を見つめているのだろう、、、

どういういきさつか
そもそも彼女に目をかけられてしまった
そして、破滅に追いつめられる弁護士が
むしろ気の毒になってくるのが
彼女を悪女にも感じてしまうところ

すこし物語が強引にも感じるが
ひとりの女性の復讐劇を見るのが楽しい、、、

P.S.
亡くなられた市原悦子
クレジットは10番目ほどだが
非常にいい味を出して演じている、、、
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