たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/ROMA ローマ

ROMA
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1970年代のメキシコ、メキシコシティ、ローマ地区、医者一家の使用人として働く女性クレオ、恋人に妊娠を告げると彼は目の前から消えた、、、、

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只今
全米中の賞レースで
先頭を突っ走っているのが<ROMA>

NET配信作品のため
アカデミー賞の対象になるよう
どうにか要件を満たそうとしているようだが
以前の<最後の追跡>の例と同様
認められれば必ず作品賞候補になるであろう

ただし
条件が満たされずゴールデングローブ賞では
作品賞の候補に名が挙げられなかった

日本では
今年のNET配信を対象に扱われないだろうし
ネット配信した後に来年劇場公開するとも考えづらいので
今年も来年もキネマ旬報の審査の対象にならず
キネ旬ベストテンの歴史からは埋もれていくような気もする、、、

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ところでこの作品
過去のアカデミー賞のどんな作品賞受賞作品とも違う
娯楽要素はまったくなく、メッセージ性も薄い

逆に
今までのどの作品よりも芸術性が強い

カンヌのパルムドールをはじめ
ヨーロッパの映画祭なら似合うが
アメリカンなオスカーには不似合いな気がするのだ

過去のほとんどの作品賞作品は
それなりに最後まで見届けられる代物だが、

これに関しては
こういう作品に不慣れな一般の観客(NET配信だから視聴者か)の多くが
爆睡に陥ってしまうのではないかと心配だ、、、

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この映画を「美しい」との評価が多いが、

デジタルの白黒のコントラストが苦手なボクには
光の強い部分(白)が立ちすぎてテカってる感があまり好きではない
できれば、光を柔らく映し出すフィルムで撮って欲しかった

むしろ
昨年公開で同じモノクロの<立ち去った女>の方が
より印象的で美しく感じる

長回しを多用している両作品だが
しいていえば<立ち去った女>のほとんどがFIXなのに対して
<ROMA>はカメラがよく動く、とくに横移動

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*出産シーンの構図
*デモのシークエンス
*男を探すくだり、と、再会の場面
*山火事のシーン

これらが見せ場であり
非常に良いのだが
それだけで評価するには
あまりにも過大に感じ、
「期待しすぎたかな?」と、
なかば諦めていた終盤のその頃に
そのシーンはやってきた!

主人公と子供たちが
人気のないビーチで遊ぶ
主人公は泳げない
子供たちは波打ち際だけで遊ぶように言われていたのに姿を消した
主人公は海に入り必死に探す、沖へ沖へ
冷汗がヒヤヒヤ、心臓がドキドキ、バクバク
観客は主人公と同じ感情を共有することになるだろう

この一連の流れのキャメラが最高にいい!

キャメラは当初ビーチで全員を捉えている
子供たちが海へ向かい
主人公は反対の方へ行く
キャメラは主人公について行く
すると異変を感じて主人公は海へ向かう
キャメラは主人公を追う
海に入る主人公、どんどん奥に進む
水面ギリギリのレベルでキャメラは横から常に主人公を追う
なぜか波がキャメラに当たっても
レンズに水しぶきや水滴が残らない (アメージング!)
キャメラは再び砂浜の最初の位置に戻る

まさに名シーンの誕生!!!!

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この映画では
「水」がたくさん映し出される

雨、ヒョウ、シャワー、洗濯、海、水たまり、
そして、犬のフンを掃除した後に流す水(ファーストカット)

そして上空を飛行機の影がゆく、、、

ラストで
はじめて煽りの画が入る

長い長い非常階段
主人公が昇っていく
神聖にも感じる美しいラスト
そのショットでも上空に飛行機が、、、

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P.S.
鑑賞後数日経つがジワジワときている、、、

おばあちゃん、お母さん、子供たち(息子*3、娘*1)
みんな非常に優しい家族です

お父さんはカナダに出張で家を出たきり戻ってきません
向こうに愛人がいるんですね
お母さんはそれを知っていて見送りますが
引き留めるように強く抱擁します
しかし、その願いも虚しくお父ちゃんは帰ってきません

いっぽう使用人のクレオの恋人も妊娠をしたことを告げると
彼女の前から消えていなくなります
もともと強く愛し合った関係ではないのです
彼を探し当てて再び妊娠の件を告げると
男は怒りますね、そして彼女のおなかを蹴るそぶりをします
女は悲観にくれながら家に戻ります

お母さんとクレオは同じ孤独感を抱えているんですね
お母さんもお祖母ちゃんも何かとクレオに優しくしてくれます
使用人なんだけど、それ以上の強い関係が作られています

それが海で子供たちが溺れた一件で
さらに強い絆になりますね
クレオが彼女らの家族の一員になった
弱い者たちが一つになって生きていくことを認め合った瞬間ですね

それがポスターの画です。

ストーリー性やドンパチで映画を選ばない人なら
是非とも観るべき作品です、、、