たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/不安は魂を喰いつぶす・不安と魂

この、傑作と誉れ高い
ファスビンダーの<不安と魂>をついに観ることが出来た!
(現在では<不安は魂を喰いつぶす>と呼ばれる)

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37才の生涯、16年のキャリアで
44本の作品を遺したライナーヴェルナーファスビンダーが、

ダグラスサークの<天はすべて許し給う><悲しみは空の彼方に>の
オマージュとして制作した作品だが、
作風はむしろアキカウリスマキ

というか、
アキちゃんは
この作品から非常に大きな影響を受けていることがよく分る

だから
サークの摸倣というよりも
ファスビンダーのオリジナリティといえる

冒頭
年配女性がバーに入ってくる
しかし、そのバーはマイノリティたちが過ごすバー
ドイツ人のおばさんには不似合いな場所

この店の雰囲気
演者の動きや表情
カットの割り方や
構図の中の演者の立ち位置に至るまで
すべて笑っちゃうぐらいアキちゃんだぁ~

どんだけアキちゃんは
この映画が好きなのだろうか

そう考えると
やっぱり、映画は連鎖だとつくづく感じる
ダグラスサークファスビンダー⇒アキカウリスマキ、もしくはトッドヘインズ

異人種、移民もしくは相容れない者同士の交流なども
アキちゃんとの接点を感じる

またブニュエルっぽい撮り方とか
あきらかにゴダールに感化されていると思える撮り方も見て取れる

寄りはあるけど、引きが少なかったり
狭いタテっぽい構図
セリフ以外の音を載せなかったり
思い切ったジャンプカットとか

ただたんに誰かの真似で
下品なパクリで、しかもやってませんと往生際の悪い誰かさんとは違い
影響受けたことは誠実に語り
それであって自分のスタイルを構築している

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物語
掃除婦として働きながら一人暮らしをしている60代のドイツ人女性エミは、雨宿りに入ったアラブ系のバーで20歳以上も年下のモロッコ人の自動車工アリと出会う。ダンスをし、話をして意気投合した二人は一緒に暮らし始め、結婚する。外国人に対する偏見が強いその町で、アラブ人の外国人労働者と一緒にいることで、隣人、同僚、家族をはじめ、行く先々の人々から差別と偏見に満ちた扱いを受ける。エミはアリを守り、アリはそうした人種差別者に対して寛容にふるまい、二人は幸せに暮らしていたが、ある日エミがアリの自尊心を傷つけるようなことをしたため、アリは家を出る。アリを求めてエミは二人が出会ったバーに行き、最初に踊ったダンスの曲をかける。二人はまたダンスを踊り始めるが、突然アリが腹痛で倒れ、病院に運ばれる。医師から、日常的な差別によるストレスからくる胃潰瘍であることを告げられたエミは横たわるアリに静かに寄り添う。(Wikiより)
 
ドイツ人の掃除婦のおばちゃんと
20才歳下のモロッコからの移民の出会い
そして結ばれ、やがて結婚に至る
そのファーストインプレッションのエピソードが薄く
説得力に欠ける上

主人公たちが
感情を露骨に表さず
表情も変えないので
パッションはまったく感じない
そのため主人公の想いや感情が明らかにされず

ここに不安を観客が感じるわけだし
主人公の女性も男に対して感じる

そのうえ
周囲からは常に激しい差別を受け
ここに幸福を見出されるとは到底思えず
不安は映画が進行するにつれ増大する

しかし
ラストの1ショット
男が病室で女に付き添われている距離感と
寄り添う女の少し安どの表情に
一瞬の幸福を見ることができる
ここに至るまでの物語

その後の物語を考えるならば
不安な生活、不安な生活に変わりはないだろうが
幸福を感じながら寄り添い続ける気がするのだ、、、

この映画を15日間で撮り上げたそうだ

この映画
幸福は、楽しいとは限らない」という冒頭の言葉から始まる、、、

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