遅ればせながら
恥ずかしながら
この超傑作<成功の甘き香り>を初めて観た
世界的には評価が高くても
日本でだけは評価が上がらない作品は非常に多い
それだから
「埋もれがちな傑作」と称して
それらの作品を発信しているのだ、、、
日本人は
一度確定された評価を変えたがらない
日本人の選ぶ「映画ランキング」「オールタイムベスト」は
時を経てもあまり変動せず
評価が確立されたスタンダードな作品に固定化されたままだ
だから
日本では
当時あまり評価されなかった作品は
そのまま再評価されず埋もれてしまうのだ、、、
この作品も
公開当時は米国内でも評価されず
興行的にも失敗したが
時を経るごとに評価が上がり続け
その後の様々な映画に影響を与え、また引用され、
リスペクトされている作品なのだ
映画をたくさん観ている人なら
いろいろな映画の中で
「成功の甘き香り」についてのセリフを
耳にすることは多いだろう、、、
SWEET, SMELL OF SUCCESS
いい映画とはコレ!
質が違う、レベルが違う
とにかく画がキマっている、カッコイイ!
夜のNYの街がジャズにマッチして、渋い!
登場するのは
野心家のインチキ男と
まるで<暗黒街の顔役>の妹コンプレックスのような男
その二人の男を軸に
たくさんの登場人物が絡み合う
銃の登場しないフィルムノワール
物語は
ブロードウェイの劇評で、中央に絶大な影響力を誇るコラムニスト(ランカスター)のエゴイズムと、彼に小判鮫のように喰いついて甘い汁を吸おうとする小物のプレス・エージェント(カーティス好演)の卑屈な行動を悲哀を込めて描き、マスコミの薄汚い舞台裏を辛辣にあぶり出す問題作。妹と駆け出しのジャズ歌手の交際を快く思わないハッセンカーは子飼いのファルコを使って、二人の仲を裂こうとするがうまく行かず、からくりを知った妹は彼らをののしって、身投げしてしまう。緊迫した長廻しの芝居が続くラスト・シークエンスが圧倒的。ハッセンカーは、ちょうどエド・サリバンのような、単なる芸能ジャーナリストを超えたボス的存在と言えば、分かりがいいかも知れない。アーネスト・レーマンの原作を劇作家でもあるC・オデッツが脚色した。(allcinemaより抜粋)
この作品の監督アレクサンダーマッケンドリックは
この傑作を残した後しばらくして映画界を去った
その理由は
いくら頑張っても<市民ケーン>を超える作品を
作ることが出来ないからだという
<市民ケーン>の脚本を基に
自分なりにコンテを描いてみたらしいが
自分では3カットを要すると思える場面であっても
オーソンウエルズは1カットで処理してしまうという具合で、
演出家としての力量の差を痛切に感じずにはいられなかった
そして
ウエルズを意識すればするほど
その呪縛から逃がれられず
とうとう映画界を去ることを決めたそうだ
こんな立派な立派な傑作を残した監督でさえ
苦悩するのだね、、、
ボクが今年初めて観た旧作の映画の中でも
上位3本に入るほどの大傑作だ、、、
この映画はスゴイ!