あの映画史上に燦然と輝く大傑作<成功の甘き香り>の
アレクサンダーマッケンドリックは生涯9本の映画しか撮っていない
<成功の甘き香り>と並ぶ彼の代表作が
<マダムと泥棒>であり<白衣の男>であるが
この二作はまだ米国に渡る前の英国のイーリングスタジオで撮られている
イーリングスタジオといえば
「イーリングコメディ」と呼ばれるように
映画史に重要な役割を果たした
傑作<カインドハート>もここで生まれ
アレックギネスもここから映画のキャリアをスタートさせ
のちのちにスターウォーズの撮影のためにココに戻ってきたのも縁というもの、、、
そんなイーリングスタジオで
マッケンドリックスとアレックギネスで撮られた<白衣の男>は
日本ではあまり語れることはない埋もれがちな作品だ、、、
繊維工場で働くシドニー・スラットン(アレックギネス)は、汚れない擦り減らない繊維の開発に励むがあまり、多額の経費を研究費につぎ込んではそれが知られてクビになるという繰り返しの日々を送っていた。ある日、職業紹介所の紹介でバーンリー工場での仕事を得る。はじめは研究職ではなく工員として働いていたのだが、ひょんなことからバーンリー社長令嬢のダフネ(ジョーン・グリーンウッド)と知り合ったことから自身の研究が注目されることに。さらには社長のお墨付きも得て、度重なる失敗を経た後にようやく「究極の繊維」の開発に成功した。成功の知らせを聞いたバーンリー社長(セシル・パーカー)も大喜びで躍起立ち、いざ商品化する手配を始める。マスコミへのプレスリリースも間近に控えたある日、バーンリーの元へ繊維業界の重鎮であるキールロー卿(アーネスト・テシガー)が部下を連れてやって来る。そしてキールローは、その繊維が一たび商品化されれば、洗わなくても買い換えなくてもいいという理由から繊維業界は未曾有の大損害を被るとバーンリーに警鐘を鳴らす。そして、即刻その繊維の商品化差し止めを行うべく、キールローをはじめとする繊維業界の重役たちはシドニーの口封じに躍起になり始めた。さらにはその繊維の開発を知った工場の工員たちも、そんな繊維が商品化されたら自身の仕事がなくなってしまうとシドニーへの説得を試みる、、、そんなSFコメディ (Wikiより転載)
キャプラの映画に出てきそうな
研究者の主人公がとにかく一途
名誉や金のためでなく
自分の研究の成果によって
すべての人が幸福になると信じている
ところが
現実は大人の事情によって動いている、、、
もしも「汚れず、傷まない」そんな繊維が発明されたら
服が大量に作られなく
そうなれば繊維業界やそこで働く者たちも淘汰されてしまうという
厳しい現実が待ち受けていると皆が考え
皆のためにと思っていた主人公とはまったく思惑が違うことに彼は愕然とする
ところがラスト
繊維は完成されたと思われたが
実は非常に弱い素材で不完全なものであった
それを見た皆が彼を笑う
ここが悲しいねぇ
人々は「失敗は成功の基」という言葉を知らないようだ
彼の純粋な信念を笑っているようで愚かで悲しい、、、
ところで
今の現代の世において
繊維は様々な素材が開発され
傷みにくい素材や汚れを拭き取れる素材などがある
しかし、それによって繊維業界やアパレル業界が
深刻なダメージを被ったとはきかない
主人公の研究を
それぞれの打算でなくポジティブに受け止めても
彼らの未来はそんなに暗いものではなかったと
今となったら言えるね、、、