いしだあゆみの往年のヒット曲
ブルーライトヨコハマ♪の歌詞から
<歩いても、歩いても>という
題名の作品を撮った是枝監督が、
こんどは
テレサテンの別れの予感♪より
<海よりもまだ深く>を撮った
こういう映画は
分かる人しか分からない映画だと思ふ
映画評論家とか映画を分かっているとか
そういうことではなく、
似たような経験をしている人しか分からないような部分がある
そういう意味でだ、、、
というか、
そういう人は尚更まだ深く感じるものがあるだろう、、、
もうとっくに
正式に離婚してから経つのに
いまだに元夫もその母も
そして子供も
復縁を期待している
女は「今」を「未来」を見ている
過去は気にしない
男は「過去」を見る
ときに「過去」に囚われてしまう
元妻よりキッパリ
復縁の可能性がないことを聞いた母が
息子と語るシーンが
この映画の全てを語っている
母が独り言のように口にする
「今を愛せないのかねぇ」と、
このセリフまではミドルのショットで
長回ししていたのが
ラジオから流れるテレサテンの曲と共に
このセリフのタイミングで
母と息子の表情をカットを割って捉える
「いつまでも、なくしたものを追いかけたり、
叶わない夢を見たり、そんなことしてたら毎日楽しくないでしょう」
ある意味では
夢を見るのが楽しくないと言い切る母親
「幸福っていうのは、何かを諦めないと手に出来ないもんなのよ」
するとラジオから流れるテレサテンの歌声が
「海よりもまだ深く、空よりもまだ青く」と歌う
「海よりも深く人を好きになったことなんて、この歳までないけどさぁ、
あんたあるの?」
「普通の人はないよね、それでも生きてるのよ、
毎日楽しくないから生きていけんのよ、こんな毎日を」
息子が「複雑だなぁ」と云うと
「単純よ、人生なんて」と母が答える、、、
語弊があるかもしれないが
是枝は小津のようでもある
淡々とした中で
ときどき
可笑しさや面白さがある
同じように樹木希林が息子に語る
いい映画だなぁ