先日<万引き家族>を観て以来
どうしても今一度
観返してみたいと思っていた映画があった
大島渚の<少年>
是枝による<少年>が<万引き家族>だ
戦争で傷を負ったことを口実に定職につかない男と彼の先妻の息子(少年)。男の同棲相手と彼女との間に生まれた子(チビ)。家族の絆が希薄な一家は当たり屋で生計を立てている。一箇所で仕事を続けると足がつくという理由で、一家は次々と場所を変えて旅をする。少年は車の前に飛び出す恐怖と両親への抵抗から何度も逃げ出そうと試みるが、結局は逃げた後に味わう孤独に打ちのめされて家族の元に帰るしかなかった。そして、一家は反目しあいながら、とうとうその先には海しかない北海道の最北端まで辿り着くのだが…。(Wikiより)
当たり屋家業を続けながら日本縦断を続ける家族のロードムービー
美しい映像の数々と悲しい少年の心情
幼い弟役のチビはその後山田洋次監督の<家族>に出演しているが
主役の少年役の男の子は映画出演後に受けた養子縁組の話を断り
孤児院に戻り二度と映画には出演しなかった
ここでの大島は
日本のせい、戦争のせいと、国のせいだとは言い切らないが
日の丸の赤を黒にしたり
雪の中に子供の赤い長靴を置いてみせ
暗に日本を意識させる
それでも
子供には同情しても、この家族には同情する気は起きない
戦後、立派に生きた人たちは数限りないのだ
この家族が自分等のことを国のせいにするのなら
軽蔑に値する
だから、ね
子供が何度も口にする「宇宙人」「お化け」
得体のしれない者の正体は
実は家族そのものなのではないかね
少年の帽子が度々変わるのも面白いね
ジャイアンツの黄色い帽子、白い帽子、学生帽などなど
それは変装の意味合いもあるが
色を変えて目を欺くカメレオンのような
または、周囲と同化するような保護色のような
または得体の知れない何者かのようだ、、、
大島の描く家族は
是枝のように優しくはなく
ただただ厳しい現実を見せつける
しかし
どちらにも共通するのは、
脆弱な関係性の中で、家族という名の特殊な絆の集合体
<万引き家族>を観る前でも、後でもよいから
是非<少年>と観比べてもらいたい
最近はあまり語られることのなくなった
雪に埋もれがちな傑作、、、
北海道での雪のシーンは
ただただ子供たちが寒そうで可哀想