たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

「何者」、、、高校熱中篇その2

こいつはいったい「何者」だ、、、「KI」

映研の自分と同じ2年の「KI」

キャメラ担当のKOと同じく
毎年数名東大に合格するような
校内の優秀な理系の連中が揃うクラスで

映研に所属しながら
まったく映画について語らない
おかしな男だ
それなら何故に映研に所属しているのだろう、、、

イメージ 1
映画と本文は、まったく関わりがありません

そして
今回制作される映画は
そのKIが監督・主演する応援団モノの作品

これに関して
ボクが知らない1年間
KIがこの企画を強くPUSHしていたらしく
部長はとうとうKIの熱意に根負けし制作を決めた
だからKIの執念が実った作品ということになる

そして
その撮影が始まった

映研の3年と2年が応援団の幹部となり
1年生約20名ほどがシゴキを受けるシーンから撮影は始まった

ボクはとりあえず新入部員ということもあり
1年生の役を演るよう監督のKIは命じた

パンチパーマもしくはオールバックで
眉毛を剃り、髭を生やし
前傾のサンドクラスをした幹部たちが
とことん1年生をイタブりシゴく

灼熱の太陽の下
「押忍、押忍、押忍」と声をあげながら
空手の正拳突きを繰り返すシーンでは
軟弱な映研の1年生では
残念なほどにまったく様にならなかったので
KIはイラついていた

でも
KIはボクに近づき
「上手いなぁ、やってたことあるの?」
「いや、とくにクラブ活動とかではなく、ストリートで少々、、、」
「何、それ?どこ、それ、ストリート?」
「歌舞伎町の方で、、、」
「ふーん、道場なの?」
「ま、そんなもんですよ」

シゴキに耐えきれずぶっ倒れた1年生に
バケツの水をぶっかけられる
竹刀で叩かれ血が噴き出す
そんなようなシーンが延々と撮られた

そして撮影がつづくにつれ
監督のKIはエキサイトしサディストと化し
さらに過剰なシーンを生み出そうとする姿に
徐々にKIの狂気にみんなが気付き始めた

そして
幹部役のKIとボクが絡むシーンのテイクになった
KIが振り下ろした竹刀がボクの頭に本気に入った

役を忘れて立ち上がるボクに対して
まだ役のまま興奮状態にいるKIの胸倉を掴むと
KIはやっと我に返った

KIはその後
映画の完成を優先するため
己の興奮を押さえるよう努め
ついに映画は完成した

異常なシゴキの日々と
そして下剋上の抗争、復讐、殺し合い
<井之頭援団戦争> 

KIは非常に満足げであった、、、


そして秋の体育祭が近づいた
特別に体育祭の応援団が結成されることになり
その中にKIの姿があった
KIに関しては率先して望んでの応援団入りだったそうだ

ボクは思った
うちの学校には応援団がない
しかしヤツは応援団に憧れていた
そして映画には興味がないものの映研に入り
応援団の映画を作り
彼自身応援団を演じた
彼の夢は彼の望みは映研でも映画制作でもなく
「応援団」だったのだ

そして
体育祭のために結成された応援団の彼は
彼のアドリブで農大のダイコン踊りを真似て踊る姿が
いちやく校内の人気者となった

彼は映画と体育祭によって
応援団という「願い」を叶えた、、、

KI
彼は何者?
それは応援団に憧れる高校生の姿だった、、、