たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

あの監督の3本/シドニールメット

もっとも好きな監督
シドニールメット

私の選ぶ3本

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     十二人の怒れる男               質屋                   狼たちの午後

自分が観てきた映画の中の
ベストの一本ともいえるのが<質屋>だ
監督はシドニールメット

ご存知のとおり
十二人の怒れる男>や<セルピコ><未知への飛行><デストラップ>
狼たちの午後><評決><ネットワーク><その土曜日、7時58分>といった素晴らしい作品を撮っている

そのルメット監督の
<MAKING・MOVIES>という著書を
10年ほど前に読んでいる最中

たまたま
<ウィズ>を発見し迷わず借りたことがある 

<ウィズ>は
ルメット監督にとっては異色のミュージカルで
主演はダイアナロス・マイケルジャクソンのほか出演者は全て黒人

ニューヨークの街を舞台に
オズの魔法使>をリメイクした作品だが
が、が、ガッカリの出来栄えだ

オールロケで行くべきところを
中途半端にスタジオと屋外での撮影になっている

また
特撮も活かせ切れず何の効果も発揮していない

ルメットには
ミュージカルも特撮もムリなのか?

監督本人は
この完成時に
この出来で良しと納得したのだろうか?

そんな疑問で胸が落ち着かなくなった、、、

その後
再び著書を読みはじめ
数ページすると<ウィズ>について触れていた

それはまるで
私の疑問に答えるかのようで不思議な時間だった 

この作品<ウィズ>は諸事情によって
当初の監督の思惑であるオールロケによる撮影が徐々に挫折していき
自分の意図とは離れどんどんとスタジオ撮影が増えていった行程が語られ
特撮に対する知識の不足から己のイマジネーションを形に出来ず

撮影中
当初のコンセプトが次々と崩れていく様が綴られていた 

しかし
彼は誰のせいにすることもなく自分を責め
責任は全て自分にあると潔く失敗を認めている

私が不満に思い
疑問に思った部分すべてを
監督は著書の中で全て答えてくれていたので
私の胸のつかえも下りた

ルメットは
湯水のように大金をつぎ込む監督とは違い
常に予算や効率までも考え
その中から最大限の効果を模索する
まさしく職人的監督でありクリエーターだ

これほどのキャリアを持つ名匠であっても
挫折し苦悩している姿に感銘を受けた

また
この著書の中で
『生涯2本だけ金のために引き受けた作品がある』と語っていて
ルメットファンとしては非常に興味深い

『映画製作で小さな決定は何一つないのだ』という言葉は
誠実で優れた監督ならではの言葉と重く感じた

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