たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/美しき仕事

 

権威ある「Sight &Sound」史上最高の映画トップテンの7位に選ばれていながら、今まで日本では正式に一般公開がされてこなかった<美しき仕事>を「横浜フランス映画祭2024」での一度きりの上映会に行って観ることが出来た、、、この映画もそうだし、史上最高の映画1位に選ばれたシャンタルアケルマン監督の<ジャンヌディエルマンブリュッセル1080コメルス河岬通り23番地>でさえ、日本では半世紀を経てやっと一般公開されたのは一昨年のことだ、日本の文化度の低さに呆れる、日本は文化に対して幼稚なのだ、その順位が妥当かどうかは別にして、日本ではいつまで経ってもエンタメとアートを同レベルで比べようとする、まるで漫画と絵画を同次元で語るようなものだということに気づかないのだ、、、たびたび言うが映画を1000本観ればフェリーニが好きになり、3000本観ればベルイマンを理解した気になり、5000本観れば結局はブニュエルに落ち着くと思うのだが、映画においてアート系は隅に追いやられがちだ、ほとんどの人がストーリーと派手なアクションでしか映画を評価しようとしないからかもしれないが、ストーリー展開やアクションよりも一つの一つのショットに胸を打たれる人たちがいることも事実なのだ、、、ま、結局は興行だから、ビジネスだから銭にならないものはスルーされ、それが文化度の低さを深めてしまうのだろう、、、しかし、どうやらこの埋もれがちだった傑作も4半世紀を経て、レストアされたこの機会に一般公開されることになったようだ、良かった、、、

 

解説とあらすじ

「白鯨」などで知られるハーマン・メルビルの小説「ビリー・バッド」を下敷きに、フランスの名匠クレール・ドゥニが手がけた作品で、青くまばゆいアフリカの海岸を背景に、フランスの外国人部隊と、それを率いる指揮官の送る日々を描いたドラマ。
フランス、マルセイユの自宅で回想録を執筆しているガルー。かつて外国人部隊の上級曹長だった彼は、アフリカのジブチに駐留していた。暑く乾いた土地で過ごすなか、いつしかガルーは上官であるフォレスティエの多くの資質に対し、羨ましい思いを抱くようになる。ある時、部隊にサンタンという新兵がやってくる。社交的な性格でたちまち人気者になったサンタンに対し、ガルーは嫉妬や羨望を抱き、いつしかサンタンを破滅させたいと願うようになる。のだが、、、
主演は「汚れた血」「ポンヌフの恋人」などのレオス・カラックス作品の常連として知られるドニ・ラバン。日本では長らく未公開だったが、2024年に4Kレストア版で劇場初公開。

1998年製作/93分/PG12/フランス
原題:Beau Travail
配給:グッチーズ・フリースクール
劇場公開日:2024年5月31日

(映画.comより)

 

今回上映後に監督のクレールドゥニとのQ&Aが行われた、、、その中で、ラストとラス前のシーンは当初脚本上では順番が反対だったそうだ、ラストは死を予感させるシーンだったが、あまりに暗くなるので、ラス前のディスコのシーンと変更して入れ替えた、、、それにより死の予感は死のイメージとして通過するだけで、最後のはじけるシーンにより破滅よりも開放が強調されることになり、結果正解だったように思う、ボクはラストに大爆笑した、良かったよ、この終わらせ方で、、、

 

外人部隊の訓練シーンは踊りの要素を感じるが、実は撮影中に音楽(オペラ/水夫)を流していたそうで、その結果そういう風に感じられるようだ、、、

 

ロケーションが美しい、アフリカの小さな国ジブチでのロケ、砂漠と乾いた硬い土地に青い海と空、そこに動く外人部隊の男どもの身体、ぶつかり合う肉体、水中で舞う肉体、乾いた土を癒せはしないが流れる汗、、、やはり映画は背景だ、ロケーションだ、、、

 

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『美しき仕事』