映画感想／怪物

とても良かった、是枝の作品群でも上位に考える、、、音やショットで効果的な狙いを存分に発揮している、「白線を超えると地獄」、「組体操は一番下が肝心」、管楽器の（不気味な音色）、蛇口からぽたぽたと漏れる水粒、風、「適当でいい」「頑張る」、、、

母親の視点、教師の視点、子供たちの視点で構成しカンヌで脚本賞を獲得した坂元氏の脚本も良くできているし、亡くなられた坂本氏の音楽も本編を支えている、、、安藤サクラと田中裕子、名女優対決、サクラは多少いつもよりオーバーアクティングには感じるが相変わらず良い演技をしているし、田中裕子は彼女しか持ちえない雰囲気を歳を重ねても維持している、、、そしてダルデンヌ兄弟にポエミーな味付けを加えたような作風の是枝はまだまだ実力を発揮しいる、、、

日本的なコトなかれ主義など、、、でも、みんな悪いわけではない、ただ強くないだけ、弱いものたち、、、

「生まれ変わったかな？」「もとのままだよ」

ブログ上では「ラストの謎」とか「疑問」とか言っているけど、あの二人の子供は死んだに決まっているではないか、それが分からないの？そんなにモヤモヤするほど難しいことか？、、、たしかに直前で母親と教師が土砂に埋まった電車の窓を開けるカットをインサートして観客を惑わすよう仕向けてはいるが、母親と教師が駆け付けたのは夜であり、それ以前の時系列で子供たちが電車の中で土砂崩れるを察するのも夕暮れの時間帯だったことから、時間帯的にラストのシーンにはつながりにくい、救助された後の別日ではなかったか？と察する人もいるかもしれないが、洋服の汚れ具合からはそれは違うと考える、そうなるとラストは死後の世界、もしくは死んだことをイメージしたシーンと考えるのが妥当、、、「元のままだよ」のセリフは『死んでもキミへの気持ちに変わりはないよ』の意味、、、主人公の少年二人にどこかセクシャルな雰囲気をまとわせたのは新しい是枝の一面に感じる、まったく素晴らしい作品だった、、、

「誰でも手に入るものを幸せという」

4点　火事、靴、髪の毛、猫、雨、風、電車、管楽器、、、