役者揃いの出演陣の中でも
やはり主役の乙羽信子が凄い
こんなオーバーアクティングな演技は
全世界的にも、全時代的にも見たことがない!
それは普通なら、けなされても然るべき演技だろうが
それが徹底的で凄すぎるので
誰もこれを否定することはできないはずだ
これを、ヒドイ!と思うか、スゴイ!と思うか、、、
終戦直後の鶴見にあるバラック部落を新藤が自身で取材し、映画化した。河童沼のほとりのルンペン部落に住む知恵遅れの女、ばくち好きの男、新興宗教にすがる老婆、元新劇の名優だったと自称する男たちの人生模様を描いている。 (Wikiより)
すぐに思い浮かぶのは<カビリアの夜>だ
しかし、カビリアは1957年、これは1954年で
フェリーニよりも先に新藤はやった
<太陽の墓場>も思い起こすね
大島渚が大阪舞台に描いたそれはエネルギッシュだ
黒澤の<どん底>が綺麗に見える
きれいごとに思えるほどだ、、、
知恵遅れで不潔で気色悪い表情をする女が死んで
だが、その死に顔が美しい
この終盤の彼女の死に顔の美しさに衝撃を受ける
ただね
主人公の知恵遅れのこの女の歯が綺麗なんだよね
環境を考えれば、あのキレイで整った歯は説得力がない、、、
下手な脚本なら使ってしまうようなセリフがない
たとえば石炭を落としていく汽車を待ち構えていて
それがやってくれば部落の人々に
「汽車が来たぞー」と言わせそうだが、
新藤は言わせない
実際、そうは言わない連中なのだ
一目散に自分が多く拾いたいのだ
素晴らしい脚本
素晴らしい役者たち
新藤の代表作とは言われないが
良作、力作、佳作、秀作、名作、傑作いくらでもある新藤の
これも埋もれている傑作の一つだ、、、