たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/コット、はじまりの夏_The Quiet Girl

『コット、はじまりの夏』公式サイト 1月26日(金)公開

 

映画ファンなら、アイルランドを舞台にした映画でタイトルが「The Quiet Girl」と言えばすぐに「The Quiet Man」を想うよね、、、物語の共通点を見つけることはできないが、監督がこのタイトルに決める時、絶対にジョンフォードの名作が頭をよぎったはず、だからこの映画は<コット、はじまりの夏>ではなく「静かなる少女」でもぜんぜん良いわけだ、むしろ映画ファンにはその方が嬉しく思えるはず、、、

 

たいがいね、観客の心を意図的にハンドルするように映画は作られる、それによって観客は涙をこぼしたり感動したりする訳で、時にそれは強引な手を使って行われる訳だけど、そういうことを「あざとい」という言葉で表すわけだよね、その点、この映画にはそういう姑息な手段が一切ない、、、あくまでも自然で、だからこそジワっと後からゆっくりくるわけだよ、強火より弱火でトロトロじっくり料理した方が良かったりするのと同じだね、、、

 

当然のようにあるべき両親や家族からの愛情を受けず家の中に居場所のない9歳の少女が、ひと夏を親戚の夫婦に預けられる話し、、、アイルランド語で、しかもセリフにも頼らず物語は語られていく、、、そして、フィルム撮影によるその柔らかな風合いが作品にマッチしている、、、

 

「沈黙は時に正しい、ほとんどの人が沈黙の機会を逃して、多くの物を失っている」

 

派手なアクションやストーリー展開こそが映画だと考える人たちの心に染みるかどうかは分からないが、これこそが映画的な映画、素晴らしい一本、、、

 

4点、、、走る、走る、走る、ゴシゴシ、ゴシゴシ、バケツ、お漏らし、お風呂、、、