本作の監督クロードオータンララは本作品が代表作と日本では言われているが、実のところは日本であまり作品が公開されていないだけで、もっと立派な作品が他にも沢山あり欧州ではとても評価が高いそうだ、、、主演のジェラールフィリップもこれが出生作と言われているが、この色男のその魅力については語るほどの知識も見識もない、、、
本作を観た印象は「成瀬己喜男」、、、フランスで成瀬が紹介されたのが50年代であるから互いに影響を受け合ったわけではないが、東西の同じ時代に同じような作風の監督が活躍していたことになる、、、若い男に惚れられて舞い上がる年上の女性と、年上の女性との愛欲に溺れる青年の物語、、、クレイジーラブ、恋は人を狂わせる、それは肉体に棲む悪魔が欲求だけで未熟で利己的な魂の青年を誑かすように、、、
戦争が続く重い雰囲気の中で恋は育ち、戦争の終焉が近づき人々が明るくなるにつれ二人の関係は終わりに向かう、反比例する社会の状況と二人の関係は対位法、それがとても活かされている、、、また窓や鏡がとても上手く使われている、、、窓から外を見る、外から窓を見る、二人で見る、ひとりが見る、、、
彼女の部屋の窓辺をストーカーのように見上げる青年、カーテン越しに彼女の夫の影が彼女に近寄り重なる、そして部屋の灯は消え、主人公の青年の表情、映画的なシークエンス、まさにモーションピクチャー、いい監督は窓の使い方が巧い、、、