たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/巴里の女性

 

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チャップリンの初の「喜劇でない作品」

であり

本人も出演していない初の作品

 

興行的に失敗したことで傷ついたチャップリン

初上映以降50年間この作品を人目に晒さぬよう埋めてしまった

 

そして、

チャップリンにより再編集と音楽を加えて

1976年にやっと再上映されることになった

 

文字とおり「埋もれていた」作品であり「傑作」

 

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田舎町から、親の反対を押し切って駆け落ちしようとしていた男女が、誤解により別れ離れになる、、、1年後に偶然再会したときには、女にはパトロンがいて贅沢な暮らしをしていたが、男は改めて女に求愛し、結婚を申し込む、、、いったんはパトロンと別れて、質素だが愛のある生活を夢見た女であったが、男の母親からの反対を知り、再びパトロンの下へと戻る、、、そして、悲劇が、、、そして、意外な結末が、、、

 

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ファーストシーンとラストシーンが秀逸

 

夜、窓から階下の男を探す女、しかし養父によって家から出られない女、男の助けを借りて外に出るが、こんどは戻る方法がなく、女は「二度と家に帰ってくるな」と突きつけられる、、、ここらへんのシークエンスの画と編集が巧い、ヒッチのタッチにも似ている

 

ラストは、あまり云うとネタバレになるので言えないが

女とパトロンがすれ違うシーン、ここがいい

いかにもクラシックハリウッドの印象的なラストシーンだ

 

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喜劇ではないが

シニカルな笑いの要素も含み

サスペンスフルなストーリー展開もあり

 

男女の身勝手さ

男、女、愛人、男の父、母、女の養父、全ての登場人物の立場や心理を見事に描いている、、、

 

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作中では

パリに女性が一人で到着して以降の下り

肖像画を男に描いてもらう下りが抜け落ちている

むしろ描くべきところ

物語としては面白いだろうところ

本来なら描くべきはこっちであろうに

それをしない凄さ、、、

 

女友だちが

主人公の女に告げ口するシーンでは

凡人でなくとも普通は

それを聞いて狼狽えるなり、悲しむなり

それを聞いた女の表情を捉えると思うのだが

チャップリンはそれをしない

 

なんと

女にマッサージを施していた女性の表情を延々と映し出す

これには参ったね、さすが天才だね、非凡とはこういうことだね

それ以降同じような手法があるとしたら

それはこの作品の模倣だろうね、、、

 

やはりチャップリン

只者ではないと再確認した、間違いなく傑作だ、、、

 

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