これは埋もれている
こんなに素晴らしい作品なのに
語られることがほとんどない大傑作、、、
ムルナウが
<サンライズ>と<タヴゥ>の間に撮った<シティガール/都会の女>
主演はフランクボーゼージ作品の常連で
<幸運の星><第七天国>のチャールズファーレル
なにより
威圧的に全ての人に接する父親役のディヴィッドトーレンスが良い
結婚したばかりの長男の嫁と
初めて会ったその日にビンタを食らわすとは、、、
テレンスマリックがネストール、ハスケル二大キャメラマンと撮った傑作<天国の日々>は
同じくオスカーの撮影賞をとった<大地>に大きく影響を受けているが
この<都会の女/CityGirl>からもインスパイアされているとこの作品をみて感じられた
マリックもムルナウになりたかったんだなぁ、、、
意味もなく、寄ったり、引いたり、パンするような現代の映画とは違い
そのキャメラワークにはそう撮るべき意味がある
とくにこの作品で最も素晴らしいキャメラワークは
主人公二人が田舎の小麦畑に帰ってきたシーン
汽車から降りて
手前のキャメラに二人が向かって歩いてくるロングが美しいと思っていたら
次には
二人が小麦畑を戯れながら走る移動撮影がトリハダもので
これを見るだけでもこの作品を見る価値がそこにあった、、、
当時
トーキーが始まり出した頃だが
この映画にはトーキーである必要性は全く感じられない
サイレント映画だからこそ具現化できる夢のような世界
ムルナウなら
他の多くの傑作があり
この作品はそれらの作品の陰に隠れ埋もれがちだが
ほかのどの作品と比べても遜色のない傑作だ、、、
米国中西部のミネソタ州で手びろく農業を営んでいるタスティンは息子のレムが1人前の立派な若者になったので収穫した小麦を売りにシカゴへ遣った。タスティンは生れがスコットランドだけに大変な倹約家だったので、レムは父親の言い値で小麦が売れればいいがと心配した。by the way シカゴでは小麦は安値だった。レムは思い患いながら簡易食堂に昼飯を食べに入った。彼に給仕をしたのはケートという美しいウェイトレスでレムの純樸な気質を好ましく思った。レムもケートの美貌と親切とに大いに心を惹かれた。大都会の夏はさらぬだに暑いのに食堂で終日立働いて下宿へ帰るとケートは精も根も尽き果てたような心地がした。そして昼間会ったレムが住んでいるような田舎で一生暮らしたらどんなに暢気で気が清々することだろうと思うのだった。一方小麦は下る一方で何日になったら上るか見込は立たないのでレムは決心して売ってしまい1時の汽車で田舎へ帰るのだとケートに別れに行った。併しレムは1時の汽車には乗らなかった。そして再びケートを探しに戻ったレムと同じ思いで停車場へ行ったが行違って落胆して帰って来たケートは食堂の前で逢った。ウェイトレスと結婚した、帰りが遅れるが心配するな、という倅の電報を見た父親は暗い気持ちに襲われた。姑と小さい妹のメアリーには優しく迎えられたが舅の冷やかな態度はケートの心を重くした。然し彼女は姑を助けて甲斐甲斐しく働いた。多勢の雇人達も若い美しいケートの給仕に陽気になった。雇人頭のマックは主家の嫁に道ならぬ恋慕の炎を燃やした。その夜暴風雨来の警報を受けたタスティンは刈入れの夜業を命じた。マックは1人戻って来てケートに暴行を加えようとしたのを帰って来たタスティンに見咎められるとケートが仕かけた恋だと嘘吐いて逃げた。無情な舅はそれを信じてケートを撲った。そこへ戻ったレムは憤ってマックを探しに行き格闘の末引摺って来て事実を白状させた。豪雨が沛然と降り始めた。タスティンは収穫が駄目になると呻いた。来年の春を待ちましょう、皆で一生懸命に働きましょう、とケートが健気な言葉を吐いた時、タスティンは嫁を見損なった自らの不明を詫びた。希望と幸福に一同の顔は輝いた(Movie Walkerより)
田舎の野郎どもは、都会からやって来た女をやらしい眼で見るんだよね、一方で新婚の夫とは口もきかない険悪な状態になっていて、夫は女の部屋にも入れてもらえない、それを見て野郎どもはますます女にちょっかいを出す、ここらへんが非常に怖いんだね、ムルナウはこういう心理的な怖さをうまく映像で表現できるんだよね、、、いっぽうで画の美しさにはとことんと拘り、美しさと怖さを併せて迫るのがムルナウのスタイルだ
この画像はイマイチだが、実際は美しすぎるロング
素晴らしく美しい移動撮影
これを見るだけでも価値がある
都会からやってきた女に最初から偏見を持っている父親
このあと女をひっぱ叩く