たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/ハッド

ポールニューマン主演
この作品でオスカーを受賞する
メルヴィンダグラスとパトリシアニール共演
名匠マーティンリットの<ハッド>

ずっと観たくて観られなく
やっとテレビで放映されたのを次男が拾っておいてくれた、、、

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オープニングのタイトルクレジット
哀愁を帯びたギターが奏でる旋律

悲しい物語が始まるのを知らせると同時に
寂しい結末を予感させる

ツカミはOK!

そして、クレジットが終わると
一転カントリーウエスタン

そ、現代の西部
牧場を経営する父と
亡くなった兄の息子(甥っ子)と
そして、家政婦と暮らす主人公

夜な夜な
街に出ては酒と女にふける独身の主人公

ある日
この一家に悲劇が起こる
牛の口蹄疫が発生
全頭、殺処分する羽目に、、、

その時
主人公は口蹄疫の疑いのある牛を今のうち
他の州で売ってしまえという
「正直に生きるなんてリンカーンの頃の昔話だ」と
「世の中、価格操作、低俗番組、脱税、あらゆるところで」
道徳も正義もへったくれもないんだと、

そして
牛がいなくなれば
広大な土地を石油を求める連中に売ってしまえと、

ことごとく父親と対立する

当初は伯父に憧れていた甥っ子も
しだいに心が離れていく

そんな話と並行して
家政婦はまるで本当の家族のように一家と接している

実は内心主人公にも憧れていたが
主人公が酔って彼女の寝室にやってきて彼女を押し倒したことで
家政婦はこの一家っと分かれる決心をする、、、

父も死に
女(家政婦)も去り
憧れられていた甥っ子も、この土地を去り

まったく何もない
牛も家族もいなくなった
その家に、その土地に、取り残された主人公、独り、、、

観るまで随分と時間がかかった
ボクの中でずっと埋もれていた本作品であったが
やっと会えて、そして、良かった、いい映画だったなぁ、、、

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旦那がいない間に人妻と一夜を過ごした男のもとに旦那が帰ってきた
迎えに来た甥っ子のせいにして難を逃れる
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手前の部屋と奥の部屋
背を向ける主人公と、その背に視線をやる家政婦
何のセリフも説明もなくても伝わる画
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牛が2頭死んだ
近くには追い払ったカラスの影、影、影
物語が不吉な方向へ進む暗示
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血のつながった男家族3人と、
家族のようでありながら、時に距離を保つ家政婦の構図
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酒場から女を連れてきた主人公と
映画帰りの祖父と孫がダイナーでバッティング
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ポールニューマンがダメ男だけど
カッコイ~イ~
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口蹄疫の疑いがかかる牛たち
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牛の処分について考えが割れる家族
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祖父も伯父も好きな複雑な立場の青年
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受け入れないが拒否もしない
複雑な心境の女
家族か、家政婦か、それとも普通の女なのか?
このくらいのサイズのアップは他になく
本当に必要な時に必要な画を用意する手腕が見事
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最悪の知らせを告げに来る当局の役人
それでも祖父は言う「いい奴だ、言いにくいことを言いに来る男」だから
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大量の牛が殺処分される
ペキンパーなら、さながら殺されていく牛たちをハイスピードで追うだろう
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しかし、この監督は牛たちが死んでいくところを映さず
それでも死んだと想像させる
これこそが映画だけの独自性
直接的な描写がなくても
モンタージュで観客に伝える
まさにモーションピクチャー!
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女が去っていく
「ちゃんと口説いてくれたら良かったのに」と、女
それでも、想いをキチンと伝えられない、男
名シーン
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「オマエのことは絶対に忘れない、オレを振った女だから」
しかし、むしろ、傷ついたのは、女
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そして
愛すべき人は全ていなくなった
主人公のもとから

傑作