一度ディレクターズカット版が
VHSで発売されていた時期があったとしても
完全版が劇場で公開されるまでの40年間
埋もれていた傑作がついに蘇った、、、
まぁぁぁぁ噂に違わぬ
スゴイ映画でした、素晴しい!
フリードキン版の<恐怖の報酬>
<フレンチコネクション>でオスカーの栄誉で名誉を掴み
<エクソシスト>でメガヒットを生み
ハリウッドでの地位を確立したウィリアムフリードキンが
その功績から
今の価値で100億円程の制作費を
ユニバーサルとパラマウントが注ぎ込み
2年の歳月をかけて完成し公開された本作は
当時大コケしてしまった、、、
しかし
スティーブンキングが
「クルーゾーのオリジナル以上に、私の人生で最も好きな作品」と
公言したのをはじめ
タラちゃんが
生涯で好きな映画ベスト12本のうちの1本として紹介したのをキッカケに
<恐怖の報酬>再上映の機運が盛り上がっていたが、
権利の問題でなかなか上映されず
とうとうフリードキンが訴訟を起こしての決着となった、、、
日本初公開当時は配給会社が
無断で30分カットしたバージョンのため
フリードキンは
「私の一番思い入れのある作品だ、きちんと完全版を観たうえで評価してくれ」と
日本でのインタビューでそう語っていた
この作品への評価が不当であるとの
監督の執念が今回の日本でのリバイバルとなったのだ、、、
本作は
原作モノ、リメイクものとして正しい在り方を示している
原作やオリジナル版と同じようにやっては絶対に成功しない
クリエイターとして自分なりの手法で挑まなくてはいけない
そうでないとストーリーを詰め込むだけの凡作になってしまう
この作品では
ニトログリセリンをトラックで運び
数々の困難を越え火災現場に届けるというプロットだけ
オリジナルから拝借して
登場人物のキャラ、またその描き方
構成(語り口)が違うのだ
主要な登場人物4名の
「そこ」に逃げてくるまでのエピソードを
前半「起」で巧く的確にテンポよく描いている
砂埃で「乾いた」暑苦しさが覆う前作に対して
ジャングルの湿った空気とスコールによる本作は
その点でも相違する
そしてクライマックスといえる
トラックが吊り橋を渡るシークエンスは
オリジナリティのある
まったくのフリードキンの作品だ、、、
また
フリードキンは製作にあたって
同じジャングルを舞台とした<戦場にかける橋>を参考にし
リーン監督を訪れた
その際リーン監督はアドバイスとして
「もし、今、私が<戦場にかける橋>をもう一度撮るとしたら、セリフを1/3削るね」と云ったそうだ
それを聞いて戻ったフリードキンは
完成していた脚本のセリフを片っ端から削ったそうだ
そのかいあって無駄なセリフは一切なく
画で観客を圧倒する
素晴しいモーションピクチャーなっている、、、
本作は2年もの間
中南米でロケされたようだが
さすがに吊り橋の場面だけは
スタジオで撮っただろうと想像した
なぜなら
実際にロケでジャングルの中で
あれをやったとしたら「クレイジー!」だからだ
しかし
実際にロケだそうだ
ありえない!
もし、それが事実なら
フリードキンは
<アギーレ/神の怒り><フィッツカラルド>を撮ったに等しい
とにかく、ぜったいに観るべき!!!
フリードキンも
「日本公開当時のバージョンで評価しないでくれ!」と切望しているように
この機会に劇場で「埋もれていた傑作」を確認し
フリードキンのためにも
きちんと評価してあげて欲しい、、、