たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/雄呂血

時代劇と問われて
普通に答えれば

七人の侍><用心棒>とか<座頭市>とか
新しいところでは<たそがれ清兵衛>とか
よく映画を観ている人なら
切腹><上意討ち>とか<丹下左膳余話・百萬両の壺>とか
そういった名前があがるだろう

ところが
この映画の名前を口にする人は少ない
<雄呂血>

時代劇の、チャンバラの、殺陣の
源流といわれる作品が
この無声映画、いや活動写真だ

坂東妻三郎がスターの地位を確立する
大正14年制作の、この<雄呂血>、「おろち」と読む、、、

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この時代に俯瞰のドリーバックなど
バリエーション豊富で高等な移動撮影をはじめ
様々の撮影技術を駆使し
その後の日本映画界の
とくにチャンバラ映画をはじめとする
アクション映画における礎となった、、、

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また物語も
反社会的メッセージを含んだ
江戸時代から日本人のDNAに埋め込まれた
「事なかれ主義」「官僚主義」に対する
アンチテーゼとなっていて
バンツマ演じる主人公に
強い思い入れをもって鑑賞することになる

とにかく世の中「理不尽」なことばかり
正義感が強く、筋の曲がったことに黙っていられない主人公には
「もっともらしい」世の中は住みにくい世界なのだ
誰でも彼の怒りに感情移入してしまうことだろう、、、

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ふと思うことだが
最新の技術で過去の名作を補修し
当時の鮮やかな色やトーンを再現する作業は行われているが
あのサイレント時代のコマの速さを修正して
自然な動きに変換する試みは聞かない

通常1秒間に24コマ
テレビでは30フレーム
おそらくサイレント期の大昔は
18コマほどで撮っていたであろうから
チャップリやキートンのアクションでも感じる通り
動きがカクカクして早い

「オリジナルに手に付ける邪道な行為」との指摘も重々承知したうえで
自然な動きでアクションを観てみたいとも正直思ふ、、、

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物語(Wikiより抜粋)

漢学者松澄永山の娘・奈美江と、その弟子で正義感の強い若侍・久利富平三郎はひそかに愛し合っていた。平三郎は師の誕生祝いの夜、同門の家老の息子の浪岡の無礼を怒り、腕力沙汰に及んだことから破門を命じられる。また奈美江を中傷誹謗していた家中の若侍を懲らしめたことが逆に永山の誤解を招き、師からも破門され、石もて追われるように故郷を捨て、旅に出る平三郎。
平三郎は自分が正しいと信じてやったことが事毎に周りから曲解され、そのこころは次第に荒んでいき、無頼の浪人となり下がり、虚無の深淵に沈んでいく。
たまたまある町の料亭で働く千代を知り、女の情を求めて牢を破って訪ねたもののすでに千代は人の妻となっていた。捕吏に追われた平三郎は侠客・次郎三のもとへ飛び込むが、この侠客が喰わせ者。病に難渋する旅の夫婦を助けたは良いがその妻に言い寄り手篭めにしようとする。しかもその妻女こそ、かつての恩師の娘、初恋の人の奈美江であった。
平三郎の白刃一閃、見事次郎三を斬り捨てるがもはや脱出かなわず、十重二十重の重囲のなかに堕ち、乱闘又乱闘の大立ち回りの末、ついに力尽き捕えられ、群衆の悪罵を浴び引かれていく。その中に涙に濡れ、平三郎を伏し拝む奈美江夫婦の姿があったことを、群衆の誰一人知る者はいなかった。