ボクは若い頃
東京~大船間を何百回と移動していた
それは松竹大船撮影所に用があったからだ
だから「大船」に関しては
ちょっとした思い入れが強いのだ、、、
当時若き日のボクは
東京にあるポスプロから大船の松竹撮影所にフィルムを運んでいた
その日
松竹撮影所構内のフィルム保管庫に行くと
<神様がくれた赤ん坊>を運んできたボクが
「これいい映画ですよね、大好きです」と言ったら
倉庫番のおじさんは嬉しそうな顔をして
「だろ、いい映画だろ、名作だよ」と、
どうやら昔は前田組のスタッフであったようだが
撮影現場で働いていた人が活躍の場を失い
このおじさんも倉庫番をしているような状況だった
70年代後半から80年代
映画が斜陽の時代だ
この映画は
松竹が蒲田から大船に移転して50周年を記念した映画
しかし
それから暫くして松竹は大船からも撤退して
日本映画界のメジャーでは
唯一撮影所をもたない映画会社となってしまった、、、
どこの映画会社の撮影所も
自社制作の映画のためのスタジオとしてだけでは
なかなか運営は難しい状況にあるので
土地を切り売りしたり多角経営をして凌いでいる
こんな現在の状況を知ったら
この映画の設定の頃の映画人は悲しむはずだ、、、
本編中
なかでも一番のいいシーンは
主人公(女優)の父親(渥美清)が娘の初主演映画を観ながら
映画館で息をひきとるシーン
とにかく
このシーンを撮りたくて
この映画を制作したのではないかと想像してしまうほど
とにかく渥美清が
このシーンばかりでなく
この作品では、寅さんとはまた別の魅力で素晴らしい演技を見せている、、、、
ほとんどの登場人物には
実際のモデルがいる
下の画像は
小津安二郎の撮影現場を再現したもの
最後のクレジットに出川哲郎の名前を見つけたが
いったい何の役で出ていたのだろう、、、
藤山寛美がチラっと出ているね
破天荒な振る舞いで一旦は松竹から追放された藤山だったが
借金を全て肩代わりして松竹に戻したのは追放した会社の方
そういえば、実際の岡田嘉子は男はつらいよ(17)にも出演している
城戸四郎、斉藤寅次郎、小津安二郎、島津保次郎、清水宏、豊田四郎、吉村公三郎、山本薩夫、非常線の女、不思議の国のアリス、制服の処女、西部戦線異状なし、巴里祭、マルクス兄弟、、、いろいろワードが登場して、映画ファンには嬉しい一本だ、、、