名匠
<張込み>
セリフがなくても成立しうる映画は
優れた作品
まさに
この映画も
その部類に当てはまる
いい画がたくさん
ロケーションが素晴らしい
カメラワークがいい
構図がいい
黒澤明から
「日本一の助監督」と
言われたそうだ
が
はたして
それは褒め言葉であろうか?
助監督として良くても
監督を目指すものには
必ずしも大喜びは出来ない
監督として
当初はなかなか活躍できず
この企画を得て
必死に仕事に向き合ったようだ
脚本には橋本忍を
助監督には山田洋次
山田洋次も
また
監督への足掛かりが掴めず
苦悩していた頃で
必死に素晴らしい作品を作り上げようとしていた
野村監督の姿に
山田洋次も刺激を受けたのかもしれない
ちなみに
本編の導入部分では
延々と
東京から佐賀までの鉄道の道中が描かれる
遠く遠い旅
その12年後に
山田洋次が監督として撮った
<家族>と重なるというのは
言い過ぎではないだろう
張込みは
「覗き」行為
これはある意味刺激的で
脚本として面白い素材だ
代表作といわれる
<砂の器>の陰に埋もれている
が
この作品こそ傑作だ