たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

「何者」、、、3

しばらく待合室で待っていると
自分の名前が呼ばれた

このまま面接を受けずに
帰ってしまいたい衝動にも駆られた

闘う前に
既に戦意は喪失していた、、、

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ここに掲載されている駄文は、小説とは一切関係ありません

電通の人に説明するつもりで」

そもそも電通の人がどういう人か知らないし
クライアントとか代理店とか
そういう知らない人に対して
自分のアイデアがいかに素晴らしいか
自信を持って説明する
それがプレゼンのようだ

ボクは
恥ずかしげに紙切れのコンテを拡げ
7、8名の面接官に向けて説明を始めた

が、

プレゼンよりも
仕事のことよりも

自分がいかにノリがよく
行動力があり体力があり
スポーツが好きであるかを問われた

「じゃー野球部のマネージャーね!」

意外な形で「採用」が決まった、、、

どうやら
この会社には
大人しい芸術家のような人ばかりが受けに来ていたようだ

とにかく
この会社の人たちは
遊ぶことが好きなことだけは分かった


採用が決まり
既定路線として父が決めていた進路に対して

「自分はCMプロダクションに受かったので、そっちに進みたい」と告げた

自分の父は
勝新太郎のようとか
田中角栄のようとか
新宿のどこどこの親分のようだと周囲が言うように
凄く威圧感があり怖い人だったので
父の決めた路線を外れることを口にするには
非常に勇気がいることだったが、、、言えた

父は複雑な表情を浮かべ
そんなことやって、将来どうするの?」と、

半ば馬鹿にしたように言った
ボクが映画が好きなことを知っているが
そんなことは道楽にしか思えなかったのだろう

「ゆくゆくはCMのディレクターになって、認められれば映画の世界にも、、、」

父はよし分かったと言い
条件を付けた

「もしオレが死にそうになる前に、ディレクターとかいうのになったら認めよう
しかし、そうなる前にオレの具合が悪くなったら家を継げ」

父は
今でも十分具合が悪かった、肝硬変だった

以前は毎晩ウィスキーを1本あけていた
瓶ビールのケースが置いてある家はあるかもしれないが
父の場合はウィスキーのケースだった

父が死ぬか、ボクがディレクターになるか、
どっちが先か、、、
かなり不利なレースが始まった、、、


数カ月後
ボクはその会社で
与えられたデスクに踏ん反り替えって座り
好きな音楽を選んでカセットデッキにかけ
熱いコーヒーをすすりながら
絵コンテでも描けばいいのかなあ?と、考えていると

身体のデカイ
体育会系の鬼軍曹のような人が
ボクと同期入社の計3名の目の前に仁王立ちになって
言った

「オマエら明日から山に入ってドカチンしてもらうから、長靴もってこい!」

・・・・、は?
ぜんぜんクリエイティブな職場じゃないじゃーん