たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

埋もれがちな傑作/蜂の巣の子供たち

 

解説

坪田譲治原作の「善太と三平物語 風の中の子供」「子供の四季」と続いて児童物に成功した清水宏が独立して製作する作品で脚本も演出も清水宏が当たっている。戦争初期一九四二年度の松竹京都作品「みかへりの塔」以来の清水宏作品である。清水宏終戦以来浮浪児問題に大きな関心を寄せ自ら手元に幾十人もの浮浪児を置き、現在生活を共にしているが、この映画にもその子供達をえらんで出演させたもので一人の既成俳優も出ていない、全くの異色作というべき第一回作品である。撮影は長らく佐々木太郎の助手をしていた古山三郎が担当した。なお、これには一ツのセットも使用せず、山陽道のオール・ロケである。

1948年製作/86分/日本
配給:蜂の巣映画
劇場公開日:1948年8月24日

(映画.comより)

 

やっと観ることが出来た清水宏の<蜂の巣の子供たち>、、、下関の駅前で出会った復員兵と戦災孤児たちが飢えを凌ぎながら東へと向かうロードムービー、、、素晴らしい傑作だった、もっともっと名作として多くの人たちに鑑賞されるべき作品だが、不幸にも埋もれがちだ、、、

 

キアロスタミが<クローズアップ>でやったような、当人が当人を演じたように、ずっとずっと大昔に清水宏は実際の戦災孤児を使って彼らが経験したような浮浪児の役をやらしていた、ちょうど同じころのロッセリーニやデシーカのようなネオレアリズモと同じように、、、

 

とにかく多用する移動やパンが最高、いいショットいいシーンいいカメラワーク、いいロケーションいいカット、ロングもいい、、、それはずっと後に相米慎二にも受け継がれてゆくのだが、それは子供たちの使い方描き方まで継承している、ただ相米と違うのは清水宏は音楽の使い方も巧いのだ、相米も素晴らしいキャリアで頑張ったが、この映画に及ぶようなものまでは作れなかった、、、大島渚あたりがやってもいいのだが、インテリは頭でっかちだ、どう頑張っても清水宏のようなソウルフルなものには到達できないだろう、、、

 

思えば清水宏は乗り物が好き、とくにバスが好きだと思っていたが、今回もバス、トラック、鉄道、、、映画の中の乗り物は物語を進めるタイムマシーンのような役割、ほんの少し先の未来に物語を進める、それはどこでもドアのように距離だけではなくまさにタイムマシーンのように時間、映画における時間の処理に乗り物は都合が良い、、、

 

子供にして、働き者と怠け者がすでにハッキリしている、それが腹をすかせたような状況であっても、腹を満たすために労働すると考える子と、できるだけ働くことを避けようとする子、、、

 

戦後の広島のロケーションが凄い、遺跡群のように、鳥肌物の凄さ、、、

 

「気持ち悪くないような子供にならなくちゃ」すごいセリフだ、凄すぎる、、、

 

そのたびに胸が苦しくなることを覚悟して、何度も観返したくなるほどの傑作だ、、、

 

映画感想「蜂の巣の子供たち」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

役者でないこの子たちがとても良い、、、

まるでどこかの国の古代遺跡のような広島の戦後の風景、、、