映画感想／アルゼンチン1985～歴史を変えた裁判～

本命＜RRR＞対抗＜別れる決心＞を退け、ゴールデングローブ賞非英語映画賞に輝いたAmazonPrimeVideo配信作品＜アルゼンチン1985～歴史を変えた裁判～＞をさっそく鑑賞してみた、、、

物語は、軍のクーデターにより長らく独裁軍事政権下にあったアルゼンチンが民主主義を取り戻した後に過去の軍部の闇を暴いてゆく法廷ドラマ、、、本作の面白いのは、軍を恐れ検事側のスタッフが集まらず、結果、法廷経験のない副検事、スタッフは学生を始めとする素人集団で脅迫やいやがらせを受けながら裁判に臨む、、、

すごく面白い、面白いのだが前半/後半に分けてテレビドラマでも良いのではないか？GG賞にはテレビドラマ部門がある、配信作品の「映画」か「テレビ」かの選別はどうなされているのだろうか？ちなみに劇場で一度でも上映されていない限り「映画」ではないと自分は思っている、、、ちなみに次にくるアカデミー賞のショートリストにも＜アルゼンチン1985～歴史を変えた裁判～＞は挙がっているが、インド代表として＜RRR＞の名は見当たらない、、、

日本における法廷では感情のない世界、事務的な世界、昔のような血の通った裁判は今では見られないから、映画やドラマに登場するような人情あり感情ありの弁護士も裁判官も絶滅している、、、本作品での登場人物には人間臭さや弱さや感情がほとばしる、、、被告人の軍人が沸き上がる傍聴人たちを見て「クソ野郎どもが」と口にするが、「オマエこそがクソだ」と観客が傍聴人の感情と一体になる、、、

ラスト、検事の長い長い論告シーン、ここはカットを割って欲しくなかった、、、でも、それでは退屈してしまう観客もいるのだろう、残念だ、、、FIXで１カットで撮れればかなりの緊張感を生み出すことができたはずだ、、、

妻役がいいんだよね、妻は観客の、いやアルゼンチン国民の代表のような役割があるんだよね、こういうところも脚本が巧いし、賢い息子は未来を背負うアルゼンチン国民の希望のようでもある、、、

誇張したライティング、青と黄の照明を仕込んだビビットな映像は最近の流行なのだろうか、とくに近年よく見かけるが、映画の世界でも「インスタ映え」を狙っているのだろうか、、、

省略が巧い、このような展開で省略されても戸惑わないのは、流れがいいから、語り口が巧いからだ、脚本が良いのだ、、、

法廷ものの傑作、名作＜ニュールンベルグ裁判＞も思い起こす、、、

3.5点（法廷もの、裁判劇が好きな人は見逃がせない一本）