低予算ながら大ヒットした<イージーライダー>の次作として
スタジオがデニスホッパーへ御褒美的に好き勝手に撮らせた映画だが、
編集に時間を要し過ぎて映画会社の怒りを買い
さらに時間をかけて仕上がったものの
それを観た会社は
その訳の分からない内容に怒りを爆発させたと言われているのが<ラストムービー>
それ以降しばらく
デニスホッパーはメガホンをとる機会を奪われた
評判も興行的にも大失敗となり
公開は早々と打ち切られたため「幻の名作」と呼ばれていたが
とうとう50年ちかい月日を経てリバイバルされ
このたびソフト化となった
あらすじ
ペルーの山奥の村で西部劇のロケを行ったクルーがハリウッドに引き上げても、スタントマンの男は現地で恋仲となった女と金(ゴールド)を探す目的も伴ってその地に留まったが、一向に金探しは進まず、一方でその辺境の地では原住民が撮影隊を真似て木で模造した撮影機材で撮影を行う奇妙な光景が繰り広げられた、、、
台頭するニューシネマの旗手ともいえるデニスホッパーが
衰退するウエスタンの死に場所を選ぶように
ペルーの山奥の村へ深く進み撮影に及ぶ
そして、そのホッパー自身も死の淵へ
文明と未開の地のように
古い体質のスタジオシステムに新しい価値観を持ち込んだように
未開の地にハリウッドの撮影隊が「映画」を持ち込み
映画は「暴力」を持ち込んだ
たぶん
台本もコンテもないんだろうなぁ
プロットだけを抱え
ラリりながらアドリブ的に撮ったのだろう
プロットは素晴らしいと思う
ホッパーは「フィルムの紛失」と言い訳しているが
そもそも最初から映画の設計がなされていないから
必要な画が撮れていないのだ
ダメと気づいても
会社はもう一度ペルーには行かせてくれない
そうなると
編集室で辻褄合わせにフィルムをつなぐしかない
そもそも
台本があってコンテがあって
頭の中できちんと設計ができていて
イメージを具現化する用意が出来ていれば
編集に時間がかかるわけがない
あとは、つなぐだけだから
ちゃんとヤレばよかったのに、、、
いいオープンセット建てて
せっかく良いが画たくさん撮れていて(撮影:ラズロコバックス)
プロットが面白いのだから
良い映画になり得たはずだ、もったいない、、、
こうなると
映画文法をあえて間違えて観客のせいにする方向に行く
狙って作ったように主張し
それを委ねた無理解な観客の責任に転嫁する
往々にしてある挫折した創作者の卑怯な手段、、、
ゴールド
デニスホッパーはせっかくの才能がありながら
監督としては
映画という金鉱を生涯掘り当て続けるチャンスを逃した、、、