たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

酒の肴なMovie/ニッポン国・古屋敷村

 

美味しい東北の米で造った日本酒を煽りながら

ときにウトウトしながらでも

この長尺(213分)をビビらずに観るのもいいかも、、、

 

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左翼思想だとか、数々の人間的な悪評もあるけど

結局「映画バカ」なんだろうね、この人は

 

この人・小川伸介の

三里塚闘争以降の代表作<ニッポン国古屋敷村

 

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小川伸介は農家の出だ

だから左翼運動よりも

むしろ自然や農業にこそ興味があるのかな?と

疑うほどの映画の滑り出し

 

滑り出しだけかと思ったら

延々と「米作」についての考察が映し出される

それは映画の中盤まで続く

 

古屋敷村とその周辺の稲作農家を取材し

米の研究に没頭する

 

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 同じ田んぼでも、年によって豊作/凶作があるのは何故か?

隣り合わせた田んぼでも、米の出来/不出来があるのは何故か?

 

折れ線グラフや模型を使った実験まで

丹念に米作りの研究する自分等の姿をフィルムに収める

 

岩波映画出身らしい文化映画のようでもあるし

この人たちがやると真面目すぎてギャグのようにすら感じる

 

でも

これは小川伸介が農家の倅でありながら

農家を継がず映画に逃げたことへの贖罪の表れなのだとの意見もある、、、

 

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やっと後半、本編の様相が変わる

 

部落(村)の人々を一人一人インタビューして回る

人々の歴史、村の歴史、戦争の記憶

 

稲作とはまったく違う方向に向かう

 

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国のためでも、天皇のためでもなく

ごく、ほんの一部の上級国民たちだけが得するためだけの戦争

 

そんな連中のために

まともなメシも食わせず、命を差し出させ、ビンタする

そして、その連中だけに都合の良い法律が生まれ

そうでない者たちは戦地に送られ命を落とす

それが日本の戦争

 

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 前半と後半では

まったくの別物

あえて繋いで長尺の映画にした

 

最初はそんな気もなかったかもしれない

前半と後半では独立した映画で成り立つものを、

 

きっと撮っていて

「分けたらダメだ!」と気付いたのだろうね

 

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毎年、豊作にはしたい

しかし、自然は冷夏だったり多雨だったり日照不足だったり

 

何千年も、何万年、自然は一年のサイクルを重ねてきたが

毎年同じ天候、状況ではない

サイクルといっても一定ではない

 

大きな大きな力を持つ自然と

長い長い時を経た地球の歴史

 

その二つの前には

人は、ただ、そこに、たまたまいただけ

自然の中ではほんの一瞬の小さな存在

 

そんな存在でも

皆、歴史を持っているし

明日の糧のために働く、、、

 

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 P.S.

そういえばこの映画

稲作と共に養蚕のことに関しても尺を割いている

「稲作」と「養蚕」といえば

天皇家の農作業

天皇が苗を植え、皇后は蚕に手を課す

 

暗に意味を含めているのだろうか、、、