たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/ファントムスレッド

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ボクのお気に入りの
目の肥えた必殺映画鑑賞人である「秋日和」さんが
こんなことを書いていたので勝手ながら転載する
 
「映画の復古。 成功を手にした映画人たちは、このことを真剣に考えてほしい。今、劇場にかかる新作映画はどれも真の意味で映画と呼べるものだろうか。『ファントム・スレッド』は、『ダンケルク』と共に、映画の復古を高らかにかかげる金字塔となるであろう。」
 
ボクは今回<ファントムスレッド>を鑑賞して
まったく同じような感想を持っていた
 
映画と呼べる真の質の高い作品
ダンケルク>という映画として完成度の高い作品
本物の映画
 
たとえば今や日本では
是枝と黒沢が2トップなら
 
米国(圏)では
ノーランとPTA(ポールトーマスアンダーソン)が抜けている
 
今回アカデミー賞では
主要な賞を逃したが
作品のにおいては「半魚人映画」も「三枚の看板」も
この映画の前では幼稚なモノにさえ思えてくる
まったくレベルも次元も違うのだ、、、
 
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演者も良いし、演出も素晴らしいし
もちろん衣装とか美術とかロケーションも美しいが
何より編集、録音、照明といった技術力が目を見張る
非常にレベルの高い仕事をしている
 
ボクは上映時間2時間の間
一瞬たりとも目を離せなかった
目を見開いて隅々まで観て
心奪われ、その再現性に圧倒された
 
たとえば録音では
レストランのシーン
キャメラが狙っているところの音だけでなく
画に映らない他の各テーブルの音さえも完全同録で拾っている
それは他のシーンでも随所で徹底されていた
 
照明においては
車を正面から捉えたショットで
早い移動ながら流れる街並みにも照明を当てていた
おそらくキャメラカーの前に大きな車に大量の機材を載せ
道の両サイドに向けてライティングをしているのだ
 
撮影はPTA本人が行っているが
日本では分業である「撮影」「照明」は
海外ではライティングは撮影監督の仕事の一部であるが
クレジットでは敢えてライティング&撮影監督・PTAとなっている
 
そして
35と70mmのフィルムで撮影されたようだ
ここらへんもノーランと考え方が同じようだ
 
昔の映画の色調を再現するにも
フィルムで撮ることは譲れない選択肢なのだ
この辺りもノーラン<ダンケルク>と同じアプローチだ
本物の映画
 
完璧主義者のPTAであり
同じようにノーランであり
この映画の主人公も異常と思えるほどの完璧主義者だ
 
ヴィスコンティタルコフスキーの域に近づけるのは
極、限られた監督だけだが
PTAはそのそばに近づいているように感じる、、、
 
4.5☺
 
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PTAは
この映画は<レベッカ>を下地にしていると語っているが
ジョセフロージの<召使>の方が近いように感じる
 
そしてPTAといえばアルトマン
師弟関係にはないが、アルトマンを引き継いでいる
アルトマンでこの世界を描いたのは<プレタポルテ>がある
PTAはいつでもアルトマンのやった領域を
自分なりのアプローチで再現しようと企ているのかもしれない
 
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たとえば使い古されたコントのようだが
好きな女性にアピールするため
友人に頼んで道端で女性に絡む
そこに偶然を装って通りかかる男が女性を救う
女性のヒーロー!
そして女性からの愛を受ける
 
こんな陳腐な茶番劇を思い出すが
ここでは大人の男と女の滑稽で真剣な愛憎劇
 
男女の支配関係
愛の主導権争い
異質な愛
 
気が狂いそうになり笑わずにはおれない
たぶん劇場で笑っていたのはボクだけだったかも、、、
 
母の亡霊、大みそかのカウントダウン、大きな窓、食事のシーンの数々
印象的なショットの数々
たくさんあり過ぎて頭の中で整理がつかない
 
昨年のキネ旬1位は<ダンケルク>だった
きっと今年はコレだね<ファントムスレッド>
映画の質が抜けている
PTAは偉大な領域に近づきつつある、、、
 
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PS
やはりPTAだから音楽がいいね、センスがいい
音楽を画に載せるのが上手いよね
レディオヘッドのギターリスト・ジョニーグリーンウッドが音楽を担当している
ぜったいOST買おっと!
 
PS
色々な人のレビューを見ると
主人公の女性が「美人」でないとか
「艶」がないとか「華」がないという声が多いね
でも、そうなると違う方向になってしまうからね
これでいいのだよ
いやにセクシーでもダメなのだよ
劇中で男が言うでしょ「胸は小さくてイイ、必要であれば私が膨らみをつくるから」
それがこのドラマが意味する言葉でしょ
 
PS
それと
クレジットの最後に「ジョナサンデミに捧ぐ」と出てくるね
PTAはデミの映画<メルビンとハワード>が大のお気に入りで
再三自作でオマージュを捧げてきたね、、、あらためてジョナサンデミ、R.I.P.
 
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