イーストウッドには
秀作、傑作、名作が非常に多いので
ついつい忘れがちになるのが
この作品
<マディソン郡の橋>だ
イーストウッドでは珍しい
恋愛モノというか不倫モノ
今が
不倫ブームというのなら
90年代後半は
第一次不倫ブームといえるのかも知れない
今更言うまでもないが
メリルストリープが上手いのだ
イタリア女を演じている
家の中と家の周辺では「裸足」なのだね
台所では少し大股に構えて
ときどき両方の腕を腰に置く
その手の爪先は短く
とても
これから甘い不倫の時が待っているとは想像できない
根っからのイタリア女の姿
母であり、妻の姿
勿論
ストリープが上手いだけでなく
イーストウッド監督の演出が的確なのだ
この映画の中で
フォトグラファーというか
ジャーナリスト役のイーストウッドが
「写真をつくる」という言い方をするね
アーティストではないのだと
あくまでもジャーナリストなのだと
主張する写真はいらないのだと云う
「芸術家ではなく職人なのだ」
という意味で使われた言葉だね
だから「つくる」のだ
クリエイター的な「創る」ではなく
あくまでも「作る」
ありのままを「作って」見せる
手にした写真を見た人の感情に委ねるのだ
ここらが
この主人公の立ち位置を
うまく表している言葉と思う
はなしは脱線するが、
前に別のところで書いたが
トリュフォー等から芸術家のように持ち上げられたが
ヒッチは
あくまでも芸術家ではなく職人なのだ
原作は読んでいないが
構成は
映画のオリジナルなのだろうか?
よくあるパターンのようだが
上手く出来ている
別のところで書いた
(映画のこと/あの3本/キスシ-ンの3本)
キスシーンは名シーンだ
そして
もっとも感情を抑えることのできない場面が
ラスト近くの
雨の街/最後の別れのシーン
このカット割りは秀逸だ
名シーンだ
イーストウッドって
やはりスゴイ
「退屈な女の妄想が生んだ亡霊との幸せな4日間」
もしくは
「願望が招いた天使との夢の刻」
ともいえる
この作品は埋もれがちではあるが
傑作だ
♪
不倫は許されざるもの
しかし
やったことの後悔よりも
やらなかったことの後悔の方が大きい
それも真実