たふえいんといなあふ 不思議な魔法の言葉 

No Movie, No Life、、、映画と食べものと、ときどき天然妻、、、

映画感想/流浪の月

 

映画のクオリティはとても高い、だからといって楽しめもしなければ、感動もない、、、松坂桃李の役は世間から「ロリコン変態野郎」と言われるし、すずは「傷モノ」扱いで興味本位な目を向けられる、そのうえ過去のある出来事からトラウマを抱えている、ふたりはどこで暮らしても安住の地を得られない、、、実際、家に行きたいとついて来たのは子供の頃のすずの方だし、桃李は優しいだけで決して手を出さない、しかし、世間(警察も家族も)は勝手に想像してそれを事実と信じてやまない、誘拐して洗脳して男は少女を意のままにしたと、、、真実を知らずに、自分の考えを事実と確定してしまう人々の危うさ怖さ、、、コンプレックスを抱える男とトラウマから逃れられない女の出会いと再会、、、

 

 

主人公は終盤判明するあることから、自然と大人の女性を避けて生きてきた、コンプレックスは誰にでも多かれ少なかれあるから、それによる他人との距離感みたいなものを考えさせられる、、、

 

 

広瀬すずはここ数年悩んでいるよね、迷っているというのか、童顔ゆえに「女子高生女優」が板に付き(<ちはやふる>の頃が女子高生役のピーク)そこから脱皮できず(今年24才)、年齢を重ねても大人の役にはまらず、髪型変えたり、メイクを変えても、女子高生「すず印」でしかない、、、吉永小百合もこんな時期を経験して、どう乗り越えたのだろう、一度吉永小百合と話す機会が得てアドバイスを貰えると良いのだが、、、そうこうしているうちに「すずのお姉さん」はすず超えして今や人気女優になっているし、それこそ<ちはやふる>では脇役だった上白石は主役を張るほどの人気者になっているし、ますます焦りのあるすずだろうが、李相日と再び仕事が出来たことは幸運だった、<怒り>の時よりも更にハードルが高くなっているが、巧いかどうかは別にしてまた一山越えることが出来たのは、女優として一つ上のステージに上れなかった本人にとってはとても良い経験になったはず、、、(もうほとんど孫を心配する目線で広瀬すずを観ているボク)

 

 

DMC>で濱口が韓国人俳優を複数起用したり、是枝は韓国で新作を撮ったり、本作でも<パラサイト/半地下の家族>の撮影監督を呼んできたり、日韓のコラボレートが盛んだが、、ホンギョンピョのキャメラはグレーを含んだくすんだブルーを基調にした色調の画作りが冷たくも美しい、、、ところどころ<パラサイト>を彷彿させるカットがあったり、美術、小道具、照明と一体となって良いショットが連続する、、、

 

 

ロリータコンプレックス、、、キューブリックが子供でありながら女の怖さを描いた<ロリータ>とは正反対のアプローチ、、、当人同士でなくては理解できない感情を浮かび上がらせることに成功している、、、常々<ヒアアフター>を引き合いに出している「理解できる者同士だけの結びつき」をこの作品にも感じた、、、

 

 

諸処レビューでは横浜流星の演技に注目が集まっているが、実際カラテのjr世界チャンピオンだっただけに暴れるシーンは迫力があるのだが、むしろ、瘦せこけた桃李のデニーロアプローチにボクは感心した、、、ま、それでも、ほとんどの人がかすかに見えた桃李の下半身の大事なあそこに目を奪われることだろう、、、はい、これで女性客動員UP!

 

 

アンティークショップの主人・柄本明のこと、樹木希林の娘・主人公の母親を演じた内田也哉子のこと、そして映画のエンディング以降のことが原作で少しでも書かれているのなら、もう少し深く知りたい部分もあるので「本屋大賞」を獲ったという原作を是非とも読んでみたいと思った、、、

 

4☺

ソース画像を表示

 

P.S.

原作には映画のエンディングの先があるようだ、興味はあるが、映画としての落としどころとしては本編のラストで正解だと思う、、、また、どうやらすずの恋人がストーカー的につきまとうところが原作では描かれているようだが、そこをキッパリ省いた監督の決断は間違っていないと思う、横浜流星の尺はこれで十分であり、そっちからをより克明に描くと散漫になってしまっただろう、、、原作は読んでいないが、全てを順番に詰め込もうとする「原作の映像化(もしくは単なる具現化)」ではない「良い原作の映画化」になっているのだと思う、、、