それは最近のことではなく
何度目かの香港旅行を終えて、空港へ向かうタクシーの中だった
珍しく気さくな運転手と、たわいもない話や冗談を言い合っていたのだが
何かの話しに触れて突然、運転手の口調が強くなった
「香港人と中国人を一緒にしないでくださいね」「香港人と中国人はまったく違う人間です」「やつらはルールやマナーを守らない野蛮な連中なだけでなく」「返還後、政治力を使って次々と香港に企業が進出し、香港の企業を政治の力を使って追いやったのです」
どうやら
その運転手はもともと食品関係の企業の工場で働いていたらしく
会社はとても順調で非常良い会社だったそうだ
ところが香港が英国から中国に返還されてからというもの
中国共産党の庇護を受けた企業が香港に進出してきて
なかば強引に訳の分からぬ理屈で彼の香港の企業から取引先を全て奪って
取って代ってその中国からの進出企業がその座に座ったという
当然
彼の会社は潰れ
そこで働く多くの従業員たちも一時路頭に迷い
そのとき彼はタクシードライバーに転身したそうだ
「一事が万事そういう調子なんだ」「中国共産党は汚い奴等だ」「香港人は皆、中国が嫌いだからね、共産党が嫌いだからね、それは覚えておいてな」「親中派なんて香港人にはいないよ、中国から来て数年しか暮らしてないような連中が親中派なんだよ」「もしくは大金と利権を握らしてもらっている香港マフィアね」「そもそも共産党って独善的で独裁的な悪党連中だろ、それが香港を乗っ取ってどんどんダメにしていくんだよ」
今あるデモの根底に
香港人のこういう気持ちがあるんだね、、、